第69話 「モツ鍋と大塚の仲間達・完」

 大塚の夜も更けてきた。


 今日は、探偵事務所に、皆で思い思いの食材を持ち寄り、高木大知さん失踪事件解決の「モツ鍋パーティー」である。

 

 モツ鍋の具材は、牛モツ、キャベツ、ニラ、もやし、絹豆腐、木綿豆腐(絹派と木綿派が激しく好みが分かれるため両方である)、長ネギ、しいたけ、かまぼこである。


 桃介がいつも睡眠を取っているパーテーションのフロアは、ふわふわのマットが敷かれている。薄い小さい座布団とクッションもあるのだ。大きめの木のテーブルを出して、みんなで正座している。

 

 「気をつけて!熱いよ!出来た出来た〜。アチチ。」

 グツグツグツグツ。ドカッ。美幸が鍋をテーブルに置いた。


 机の配置を説明しよう。

 まずは、僕木村が、四角形のテーブルの1番奥のお誕生日席になる。向かい合わせには、モツ鍋を用意したり、料理を主にする美幸(少し遠い)がいる。僕の右手には、桃介、桃介の友達の正和君、コンビニ店員たかちゃんときて、左手には、小料理店の石巻さん、また珍しく大学友人のひろくんが来た。事務所に7人はぎゅうぎゅうである。


    石巻さん 博文君 

 木村■■■■■■■■■■■■■美幸

   ■■■■■■■■■■■■■

    桃介 正和君 たかちゃん


 「木村くん、ヤ○ルト強かったね〜。これね、近所のたこ焼きを買ってきたからね、皆さんどうぞ。」たこ焼き2人前をテーブルに出しながら、石巻さんが口火を切る。


 (それを見た博文ひろふみ君が、スーパーで買ってきた刺し身の盛り合わせをドカンドカンと2つ置いた。ありがとう。)

 

 「あれっ!オリが日本一じゃないんですか?(木村)」僕は、発泡酒を吹き出しそうになる。

 「いやいや、ヤ○ルトだよ。3戦、4戦で決まったよね。」


 「へえ。探偵が忙しくて全くプロ野球見てませんでした。イーグルス負けたし。」


 「石巻さん、ヤ○ルトって飲むやつですか?」桃介がカルピスを飲みながら不思議そうな顔で言う。


 「えっ?!知らないの?野球のチーム名だよ(石巻)」


 「ヨーグルトってチームはないんですかね?(桃介)」ニヤニヤしながら言う。


 「桃介らしい発想だなあ。(いや、まてまて確かにヨーグルトスワローズもあり得るな。語感が似てる)(木村)」


 「私は、雪○だいふく好きだからロ○テがいいなー。」絹豆腐とモツをちょこちょこ皿に取りながら、美幸が言った。


 「そういう基準か…。そういや、美幸は主任になったんでしょ?スナック夕焼けに行く暇あるの?」


 「そうなんだよね、残業多いからさ、お店行くの暫くやめるよ。あとで渡すけど、恵子けいこママが木村君にクリスマスプレゼントってマフラーくれたよ。」

 

 「えっ?けいちゃん?それは、お礼を言わないとだなあ。明日電話するわ。しかしクリスマス近いよな。そう言えばと。たかちゃんは、瞳ちゃんとその後はどう?」

 

 「いやあ、特には…。だけど、僕、この間の猫の事件で警察のお世話になったじゃないですか?(たかちゃん)」

 

 「はい、はい。事情聴取のこと?」


 「石井さんって警察の人から、『君みたいな正義感のある真面目な青年が必要なんだ。警察官にならないかって?』誘われました。今度、試験受けますよ。」

 「へえー。それは、いいね。探偵事務所としても心強い。試験と言うと、正和君は教員採用は、来年も受けるのかい?(木村)」


 「ですね。3回落ちましたけどねえ。」


 「正和君、僕も私立の教員だったんですよ。しかし公立は競争率が高い。話変わるけどね、僕は、いつか不登校の支援みたいな仕事がしたいんだよ。(石巻)」


 「あ!僕もそういう熱血教師に、なりたいんですよ。(正和君)」


 「僕はチャイルドカウンセラー的なのがいいなあ(木村)あ、美幸は、なんかやりたいことないのか?」


 「わたし……アプリで小説書こうかなあ。」


 「美幸ちゃんいいね。僕は、小説好きだよ。」大学友人の博文くんが久しぶりに口を開く。

 「美幸さんは、何を書くんすか?(桃介)」

 

 「えっと、ミステリーかなあ(美幸)」


 「あんまり怖いのは読むと俺は寝れなくなるから、やめてね。ホラーじゃないよね、まさか。しかし、美幸の書くことが全く想像つかないけど(木村)」


 「探偵もの書くよ。優しい探偵さん。」


 「優しい?それは、いいじゃない。ぜひ、書籍化したら、事務所で売ろう。うんうん。(木村)」




 夜は深まる。窓の外は暗い闇だ。

 世知辛い世の中、人生はあるときは、どうしょうもなく暗闇のように見える。しかし、誰にでも光はさすものだ。僕は、そう思いたい。


 それぞれの明るい未来、夢が膨らむ夜の大塚なのである。



 今日も楽しい大塚の仲間たちと共に。

 

 そして、僕は街の…「優しい探偵だ。」


 


 


 「桃介!酒はまだ沢山あったよね?」


 「はい、店から沢山もってきちゃいましたあ。テヘペロ。」



  まずはEND

 


 



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