第39話 「11.京都よさらば」

  優しい探偵〜街の仲間と純愛と〜

  ーーー京都編⑪完





 「プルルルーーーーー。プルルルーーーーー。」


 「お客様?」


 「はい?!」


 「9時のコールです。」


 「あ、あ?!はい。あざっす。」


 朝、起きて、カーテンを開ける。2階から町並みを見下ろし、それから空を見る。

 今日も、晴天だ。陽光が優しく輝く。

 日差しが、少し、何か目にしみる。

 窓を開けると、爽やかな秋風が入って来た。少しだけ冷たい。秋も深まり、冬の足音も聴こえてくる。


 大知の消息は一体に何時に分かるのだろう。冬の雪降る季節だろうか…。


 僕は、昨日に、原木のおばあちゃんに出会い、接骨院の奈良先生に会い、中村旅館に忍び込み、濃密な1日を過ごしたのであった。  

 何か夢のような1日だった。しかし、手掛かりを沢山掴んだのである。だから、取り敢えずは、今日これから帰京することにする。


 しかし、考えてみると、京都から東京に帰るのは京から京に行くのであり、帰京というのか怪しいではないか。まあ、そんな事はどうでもいいのである。


 まず、ラインの返信がないかを確認した。昨日の深夜に、美幸にラインしたのである。こんな内容である。


 「京都調査終わりました。大成功😀それで、明日に美幸は何時に、病院終わって家に帰るわけ?もし都合が合うなら、夕ご飯作っておくけどさ🥺」


 「野球スタンプ(バッチこーい)。」

 以上の2件になる。実に簡潔である。



 今、起きて、返事を確認してみる。

 返事は、「既読」。以上である。


 元々、美幸という女性は、ラインをあまりしないのである。「文学少女の割に、なぜに長文や、文章、会話を書かないのか?」

 これは、若い人全般の傾向に感じている。だいたい28歳と38歳なんだから、違って当たり前なのである。


 美幸のラインの返事は私が、毎回、5〜15行くらい、もしくは3〜5個ラインするのに対して、だいたいこんな1言の返事なのである。


 「わかる〜☺️」(終了)


 「そうなの?」(終了)


 「いいよ😌」(終了)


 「ありがとう。(うさぎちゃんスタンプ)」(終了)


 「お疲れ様。(猫ちゃんスタンプ)」(終了)


 「OK!(クマモンスタンプ)」(終了)


 美幸は、万事が万事こうで、シンプルに言うならば、こんな感じである。正直は、若者や美幸の思考回路が少しだけ謎だ。


 ラインを確認するも「既読」だけで、返事は無いままだった。


 朝に自宅をバタバタ出ていったであろう事は想像は出来るが、「それにしてもどうなの?」なのである。


 「昨日は寝てて、今日は早いのだな。」

 そう思うことにして、取り敢えずは、何回か行ってるし、合鍵はあるし、美幸の家に今日は行き、料理を振る舞おうかな、なんてボンヤリ考えていた。


 ビジネスホテルを出て、京都駅前、「正面」に出る。

 正面出口近くのコーヒーショップで、サンドウィッチを食べてコーヒーを飲んだ。店を出る。


 コンクリートの歩道を踏みしめる。ビルの横には青空が広がり雲が流れている。


 杖をついたおばあちゃんが横を通り過ぎる。昨日の、原木のおばあちゃんには、そのうち、お礼の電話をしよう。そんな事を考えながら駅ビルに入る。


 改めて、京都駅構内には驚いたのだが、構内がパルテノン神殿みたいな空間である。何か関心しながら周囲を見渡しながら歩く。


 お土産を取り敢えず買おう。美幸には、小さいカラフルな和柄のがま口を既に、聞き込み中の、河原町で買っている。


 さらに、駅構内のお土産屋で、美幸、桃介、夕焼けのママの恵ちゃん、石巻さんに、八ツ橋のチョコレート菓子や、紫色のさつまいも餡のお饅頭、適当にいくつか御菓子を購入する。それから、ようやく新幹線ホームへ向かったのである。


 いざ帰京(帰郷)である。


 「ありがとう。京都の皆さん。またいつか。」


 新幹線は、ゆっくりと音もなく、静かに、静かに走り出していた。


 京都遠征編


 完


 (あれ!?ヤマ無し。谷無し、落ちも無し!?こんなこともあるんだ!なんでだろう?!なんでだろう??)


 なんでだろ〜う。なんでだろ〜う。なんで、だ。なんで、だ。なんで、だ、なんでだろ〜う♫













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