悦ばしき入城
maru
1.プロローグ
ええ、アンリ様のお姿はまことに立派なもので、国王として戴冠されるにふさわしく、威厳に満ちあふれておられました。
ただ、ランスへお越しになるのが、寒さ厳しい二月になってしまったのは、残念なことです。数年来、ユグノーたちとの戦が激しさを増すなか、日取りを選ぶのも苦労されたのでしょう。私どものような身分の者のあずかり知らぬことではございますが……。
ああ、そうでした。アンリ様のことでしたね。私のアンリ様――年老いた女の語ることゆえ、思い上がった呼び方ですが、お許しください――国王陛下のお父上にあたる私のアンリ様にお目にかかったのは、七月も末のこと。大変暑い夏でございました。もう三十年近く前のこととなります。
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