約束の日に君の背中を追いかけて

ゴリラつらみ

第1話 小学生編1


小学4年生の忘れもしない8月11日

「行ってきますいい子に待ってるのよ鉄心」

「後1週間であなたも10歳ね!プレゼント期待しててね」

母親の優しいいつもの声


「いってらっしゃいお母さん早く帰ってきてね」

それに答える俺

母子家庭で母が遅くになるのは知っていたが子ども心で気持ちが言葉に出てしまったのを覚えている。

それから居間で時間を1人で遊び、遊びといっても母子家庭でテレビもなく、ただ暇つぶしでお絵描きをしたり自由研究の朝顔に水をやったりなどで時間を潰し冷蔵庫に作ってあったご飯を温めて、お昼ご飯を食べた後いつのまにか寝てしまっていた。 


「うぅうん」

目を覚ましてトイレに行きふと時計を見ると針は2時を指しており、いつもなら22時には帰ってきているため子どもながらに帰りが遅いのには気づいていた。でも帰ってくるはずと、その当時は無知で電話も使えず、親戚はいるのは知っていたが学校で言うお年玉は母親以外からもらったことがないくらい親戚とは無縁だった。


不安にかられながらも時間を潰し朝になった。

だが行ってきますを最後に母親がそれから帰ってくることはなかった。


それからの記憶は曖昧だが辛かったのは覚えている。特別仲のいい友達もおらず当時電話番号なんてものは知らなかったこともあり、母親がいなければ子ども1人で夏休みのため学校もなく生活するのは大変だった。誕生日の8月18日には「きっと捨てられたんだ悪い子だから」など泣きながら呟いていたのは覚えている。取り置きのカップ麺、ベーコンの切れ端、野菜はかじって食べた。お米は見様見真似で炊いたが始めてもあり、水を全部捨ててしまっていてカチカチのご飯ができたのは記憶にある。


それからは母親に言われてためていた4000円程のお年玉を使い誰からの返事もない「行ってきます」をいい最初はおやつなど好きなものを食べていたが次第にカップラーメン、お金が尽きる頃には1日3本のうまかぼうと水道水のみになっていた。

洗濯機も使えないためボディソープで服を洗い干しながら母は必ず帰ってくるそう信じていた、いや無知だからこそ信じるしかなかった10歳になったばかりの俺がそこにいた。


食べるものもそこを尽き、日付は8月29日だったと思う。空腹に耐えかね警察署に「お母さんを探して」といいに行こうと思ったがいざ目の前にすると足がすくみ、夏休みでも先生がいるだろうか、お母さんを探してくれるだろうか、給食はいや、当時は飼育委員なるものをしていたため野菜でもくれないだろうか、あんなに嫌いで母親にも食べるように言われていた野菜ですら飢餓の中では関係なかったと思う。そのよろつく足のためか、子どもの足でも15分ほどの学校がやけに遠く感じ蝉の泣き声と、ストレス、食べ物を食べていないからか胃液が込み上げてくるのを感じながら小学校へと足を運んだ。

 

そこから職員室に入り夏休みでも出勤していた担任の先生に声をかけ事情を子どもながらに話し、その見窄らしいシワシワの服とぞうきんのような生乾きの匂い、夏休み前に比べて痩せ細った体のためかすぐに警察に電話、その後やりとりや児童相談所の職員と話したりなどとても忙しい1日だったのを覚えている。結果母親はその頃は見つからず、それから2ヶ月後林の中で白骨化した死体が見つかった。母親は派遣で辞めた後の仕事は子どもに言えない内容だとか、葬式はなどの流れもあるがここでは割愛する。  


それからは児童相談所に預けられ親戚に引き取りなどの対応をしてくれていようで、その間は施設内で勉強やご飯など食べていた記憶がある。それから親戚の話し合いとかで職員に連れられ親戚の家に言った。そこで運命の出会いをした。

「あの子の母親はどこに行ったの?本当に厄介ごとばかり」「それでどうするんだうちは無理だぞうちの娘達だけでも苦しいんだ」「うちだってそうです」など居間で話している声が秋風に流れて玄関前でも声が漏れており萎縮していたのを覚えている。

それを職員も聞いていたが「大丈夫だよ」と優しい笑顔で声をかけてくれ、家に入り親戚の前でまずは挨拶と「山崎鉄心です」それからの言葉はそこにいる10人ほどの人の視線で萎縮して声が出てこなかった。


「あーとりあえず子どもは別の部屋に私たちの話は聞かせられんので」と別室へと連れて行かれた。

「失礼します」誰もいないと思いながらも口に出して入るとそこには同じクラスの神崎葵がいた。クラスでもあまり話したこともないがクラスでも高嶺の花である葵ちゃん。その時そこが葵ちゃんの家で親戚だと初めて知った


――――――――――――――――――――

作者余談欄

いつも読んでくださりありがとうございます!

よければハート等貰えると嬉しいですっ


これから3つ程の短編を合わせているので退屈させるかも知れませんが最後まで読んでくださると嬉しいです。


一応短編だった時の題名が、かくれんぼ、おにごっこ、だるまさんが転んだです笑

初投稿なので色々と目を瞑っていただけると幸いです。

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