異世界転生した俺の能力は乗り物を召喚する能力~安住の地を求めて今日も走ります~

常闇の霊夜

第1話


俺は死んだ。何を言っているんだと思うだろうが俺は死んだようだ。少し俺の人生を振り返ってみよう。まず俺は確か死ぬ前に工事現場に来ていたはずだった……


「ヘー最近のフォークリフトは自動で動くんですねぇ」


「まぁな!アレのおかげでだいぶ助かってるわ!」


「ですよね……ところでフォークリフトにフォークリフト乗せるの危険じゃないですか?」


「まぁな!まぁ近くに人もいないし大丈夫だろ!」


とか言ってたらかくれんぼに来た子供がその下に入ってなぁ……案の定フォークリフトは落ちそうになるしでね……んで何とか助けたわけだ子供を。


「坊主!」


「その子をよろしく!」


んで……死んだ。と言う訳だな。いやぁ本当に人ってこんなに簡単に死ぬもんなんだねぇ……俺もびっくりしてるよ自分の死に……でね、今俺が何してるかっていうとね?


「はいじゃあ次の方入ってください」


面接受けてる。死んでるのに。


「それで?なんで死んでしまったのですか?」


「それは……まぁ子供を庇ってですね……」


「へー今時珍しいですよここにトラック以外の死因で来る奴……いや別にそれだけじゃないんですけどね?自殺とトラックは最近うっとおしいんで排除してるんですよこの時点で」


「は、はぁ……」


目の前にいるのは恐らく天使なんだろうなぁ……だって翼生えててよく分かんない光の輪が浮いてるし。少なくとも見た目はおっさんだけど。


「いやしかし……生前に何か好きだった物ってあります?」


「好きだった物ですか……そうですね、乗り物とか好きですね」


「乗り物?例えば?」


「まぁ……トラックとか、車とか……ですかね?」


しかしなんだろうなこの質問は……ちなみに俺は車とかの乗り物系が大好き!今まで乗ってきて逆に乗ってない乗り物を探したほうが早いってくらいには乗りまくってる。無いのは……ロケットと潜水艦と掘削機くらいだな。


「そうですか。それでは異世界転生してもらいますのでこちらの扉の中にお入りください」


「あっどうも……」


「それとこれは個人的な話になりますけどね?」


「はぁ」


「車を走らせるにはエンジンがいるように、あなたの能力もエネルギーが無ければ使えず、また無くなれば死を待つのみとなります。気をつけてください」


えっなんか凄いこと言わなかった今?!いやいやどういうアッ意識が


_______________________


……なんだか不思議な感覚だ……心地いいんだがなんか奇妙な感覚に襲われている……まるで浮いているような……そんな感じだ。何も見えないけど……声は……なんか聞こえるような……


「もう少しで産まれるぞ!」


なんか聞こえ……うおっ眩しッ!?なんだぁ!?とにかく何か言わねぇと!


「おぉ元気な男の子だ!産まれたぞ!産まれたぞ!」


「あなた……ちょっとうるさい……」


「おぉすまん!よし、お前の名前は『ハイズ』!『フィル・ラ・ハイズ』だ!」


いや言いにく過ぎんだろその名前!?しかも俺今まさか……赤ちゃんになってるって訳かぁ!?畜生泣くしかねぇこんなもの!


_______________________


「あうあう……」


まぁ俺がどういう立場なのかっていうのは分かった。とりあえずここはそこそこいい家って感じだ、貴族とかレベルじゃないけどまぁ……メイドを雇えるくらいにはいい家なんだろう。貴族かもしれんが俺は知らね。それより今気になるのは親だよ。俺産んでからまだ一か月も経ってねぇのにもう二人目作ろうとしてんだぞ?ちょっと引くわぁ……


「あ?」


そう言えば俺の腕になんか……あるな。なんだこれ?パッと見は車のメーター系の奴に見えるが……それ以外何にも情報がねぇな。マジで。なーんにも分かんない事ばっかだ今は……そう言えばここって魔法とか使える世界なのか?


「あうあう……」


さてと……寝るか。やる事ないし……お休み。


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で、五年経ったわけ。うん。五年って結構長いと思うけどね?なーんにも無かったんだよな。でも分かったことはあるんだ。まず俺の容姿に関して、元々十八歳くらいだったんだが……今は五歳年相応な見た目だよ。灰色の髪に金銀のオッドアイって感じ。んで次にこの家は実質的に貴族の家って言う感じだ。初めから気が付いておくべきだったな。だって確認してみたら普通に高そうな物ばっかだもんこの家……


「ハイズ。お散歩に行きましょ?」


「はい!」


今一緒に歩いてるのが俺の母親。名前は『フィラァ』優しい。おっぱいがデカい。俺は考えてみればあのおっぱいを最近まで吸ってきたんだからなぁ……うーん背徳感。まぁいいかどうでも。ちなみに今二人目を妊娠中。安定期に入ってるから歩いてもいいんだと。大丈夫かな……


「それにしても妹が生まれるみたいね……あなたもお兄ちゃんね♡」


「だね!お母様!」


「そうね……ッ?!」


「どうしたお母様!?」


まさか……陣痛!?嘘だろ結構遠いんだぞここ屋敷から……!俺の今の力じゃ持ち上げる事も運ぶことも出来ねぇ!どうする……!?クソッなんか無いか!?こんな時車でもあれば……いや未成年だし……そもそもこの世界に車はねぇよ!


「どうする……!?俺はどうすればいい!?」


どうすれば……ん!?車ぁ?!しかも救急車じゃね?!よっしゃなんであるかは知らねぇけどこいつに乗って母さんを運べばいい!乗せるまでは……何とかなるか!?


「おっも……」


重い……だがそんなこと言ってられねぇ!タンカはあるんだこれに乗せればマシになる!


「大丈夫だからね!今運ぶからね!」


「お……お願い……」


息も絶え絶えって感じだ……!ヨシタンカには乗せられた後は中に入れれば……!よし!運転席も空いてるしエンジンを……って待てエンジンかかるのか?そもそもガソリンは入ってるのかこれに……いや入ってるようだなガソリンメーターがMAX状態だ!後はキーだけ……


「……キーがないぞ……?!」


おいおいここまで来てキーが無くて発射できないとか嘘だろおい!そんなこと信じられるか……!?クソッ!


「あ゛っ!」


思わず殴りつけちまった……ってエンジン起動してんじゃんか!なんでだ……いや気にする必要はない!今は母さんを無事に送り届ければいい!


「多少荒くなるが……我慢してくれ!」


うおぉぉぉ!急げ急げ!もうこの際何に当たっても知ったこっちゃねぇ!そもそもここ人いねぇから大丈夫だろ!


「な、なんだぁ!?」


「お母様の陣痛が始まった!今後ろに乗せてる!」


「分かった!今運ぶから医者を連れてきてくれ!」


「分かった!」


頼むから助かってくれよ……!


_______________________


結論から言おう。母さんは助かった。俺の妹に関しても助かった。あと少し遅かったら体に異常が出来ていたかもしれないとの事だ。産声が聞こえた時は父さんと二人して胸をなでおろしたからな……


しかし当然だが俺が乗って来た救急車に関してはアレは何だと聞かれた。正直に言って俺もなぜ救急車があんなところにあったのかは知らないので誤魔化しつつ半分くらいは正しいことを言っておいた。……そう言えばなんだが腕のメーターは若干減ってた。どういう事なんだろうか……


「良かったなぁ……!ほら!お前も抱いて見ろ!」


「おぉ……かわいい妹だなぁ!」


「よし、名前は『ミュルカ』と名付けることにしよう!」


色々気になるところはあるけど……今は別にいいか。さて!とりあえず今日も寝るとするかぁ!

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