第28話 艦隊進行
艦隊進行
コリブリからもたらされた16ミリフィルムは即座に現像され、司令部で上映された。
そのフィルムを見た誰もが蚩尤の姿に畏怖を覚え、聖書にある黙示録を思い出さざるを得なかった。そして、私見として提出されたパイロットの証言「敵は実弾兵器を使用していない」という点は議論の的となった。そして導き出されたのは「敵には工業力がない」ということである。工業力がないからこそ、量産を必要とする実弾を持てない、労働力となる人間をさらっていく、という結論であった。
グランス・フェシアンは思案した。椅子をギシギシ慣らし腕を組み深々とため息をついた。
これからどうすべきか思案をしている間にも着実にFDGは戦場に向けて進行している。
推測に推測を重ねることは危険である。最初の推測が間違っていれば次から次へと間違いを積み重ねることになるからだ。だが、その間違いをグランス・フェシアンはあえて犯した。やけっぱちともいえる行動だが、他に手はないからだ。工業力がないのならば、一度破壊すれば再生はかなうまい、敵の数は減らせる、という判断である。
「敵を砲撃する。グラーフツェッペリンに発令。敵小型飛行物体を撃墜せよ。本艦は射程距離にあの悪魔をとらえ次第全兵力を持って攻撃する」
それはまさにシュナイダーら陸上部隊が待ち望んだ結論であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます