どうしてもキミが卒業したいと言うのなら

こんかぜ

どうしてもキミが卒業したいと言うのなら

「先輩っ、お願いです」


「え、えぇ~……急にそんなこと言われても」


「わたし、先輩のことが昔から大好きで……いつか先輩と卒業したかったんです」


「それは告白ととっていいのかな?」


「はい、告白と思っていただければ」


「あ、あはは……異性ならまだしも、女の子からそんなことを言われるなんて私、まったく想像してなかったよ」


「お願いですっ! 先輩!」


「まったくもう、しょうがないなぁ……みんなには秘密だからね?」


「――っ! ありがとうございます!」


「そんなに嬉しいの?」


「もう天に召されるくらい嬉しいです!」


「せめて現世にとどまっててよ!?」


「じゃあ……先輩。早くいきましょう」


「あっ、ちょっと待って。卒業証書を体育館に忘れてきたかも」


「ふふっ、取りに行かなくても大丈夫ですよ」


「え……?」


「先輩が無事に卒業したシルシを、今からつけるので」


「い、いったい何言って――」


「――っ」


「~~~~っ!!」


「ぷはっ……ほら、卒業です」


「あ、あなたって人は……」


「私のこと、愛してくれますか?」


「そりゃあ、もちろん……ね?」


「大好きです、先輩」


「改めて言われると、照れるね……」


「照れた先輩も、大好きですっ!」


「まったく……後輩ちゃんにはいつも敵わないなぁ……」


 まあ、敵わなくても、いっか。

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