雨にも負けず

 クソ、今日も学校は一日だった、この学校では日ごろテストを行うのだが30歳の古い脳みそでは進学校の内容についていけず毎回補修を食らっている。

 そのため俺は生徒会にいって執務を覚えなければいけないのにに全く時間がない、唯にも突き合わせるわけにはいかないので先に行ってもらった。

 それにしても憂鬱だ、また直江の時見たいに面倒ごとが起こらなきゃいいが、直江と高坂は爆弾だ、まさに生徒会の火薬庫と言っていい、次合ったとき何を言われるか想像しただけで面倒くさい。

 俺がこれからの生徒会関係の面倒ごとに頭を抱えつつ向かっていると道中で宇佐美に会う。


「「あ」」


 宇佐美は俺に気づくと逃げるように速足になる。


「待てよ」


 駆け足で近寄り彼女の肩を掴む。

 彼女はしゃがみ顔を守るように隠す。


「ゆ、許してください!」


「なんもしねえよ・・・」


 宇佐美は俺の本性を知る人間の一人。


「俺が変な演技しているときに言わないでくれてありがとな、どうせなら生徒会室まで一緒に行こうぜ」


「は、はい」


 彼女の目はぐるぐると回っている。

 そうとう俺のことを怖がっているようだ。

 手を貸し彼女を立たせ生徒会室に向け歩き始める。


「なんであのとき知らない振りしたんだ?」


「佐山くんにとっては知らない振りしたほうがいいかなって・・・」


「ああ、確かに助かった、優しいなお前」


 俺がほめると彼女は遠い目でうつむく。


「私にはこれくらいしかできないですから・・・」


 これがお前のやさしさか、ただその優しさが毎回いいこととはかぎらないことに彼女はきづいていないだろう。


「お、宇佐美じゃねーか、探してたぞ〜」


 下品な笑みを浮かべピアスをした男が廊下で話しかけてくる。

 その男の右手でノートを持ち、無駄に高そうな有名ブランドの時計と財布を身につけている。

 人間として浅そうというのが第一印象だ。


「な、なんですか穴山さん」


 その穴山という男の顔を見た宇佐美は顔を青くし目が会わないようにうつむく。

 穴山って確か4組の幹部のやつだ、俺が倒すべき相手の一人。


「これ、今日のこのめんどくさい課題やっといてよ」


 穴山は笑顔のまま宇佐美の頬をペちペちとノートで叩く。


「か、課題わたしも大変で」


 宇佐美が勇気をふりしぼりやりたくないという意志を見せる。


「は?」


 穴山が笑顔から冷徹な表情に変わる。


 バチンッッ


 穴山はフルスイングで宇佐美をノートで叩く。


「痛っ」


 宇佐美は思わず尻もちを着く。


「ずべこべいわずやれよ、なぁ!」


 バンッバンッバンッ


 尻もちを着いた宇佐美をノートで何度も叩く。

 宇佐美は腕を上げ必死に耐えている。

 可哀想だが俺には何も出来ない、これだけ周囲の目が集まった中で目立つ訳にも行かない。

 穴山はその音と行動で周囲の人間の目が向きはじめたのを感じたのか周りを見ると叩くのを辞める。


「クラスのみんなが言ってるけどよ、お前みたいにブスで何も出来ない、価値がないやつはこういう事で少しでも人様の役に立ってから死ねばいいんだよ」


 穴山は宇佐美の髪を引っ張り上げ暴言を叩きつける。

 それを目の前で傍観していた俺の視線に気づき俺にも敵意を向ける。


「お前誰?こいつの味方?」


「い、いいや、違うよ」


 俺は挙動不審に焦りをみせ、穴山の言ったことを否定する。


「ふん、しっかり課題やってこいよ、やって来なかったらこの10倍はやってやるよ」


 そういうと穴山は宇佐美の髪を離し、教室に帰っていった。

 宇佐美はまるでこの世の全てに絶望しているかのように目の光をなくし、呆然と座り込んでいた。

 先程の様子を見ると宇佐美はクラスでいじめにあっているようだ。

 数秒たったあとボロボロの宇佐美は立ち上がる。


「あの時みたいに助けて欲しかったか?」


 俺はニシシと笑いながら傷ついている彼女にデリカシーのない質問をする。


「大丈夫です・・・」


 そういうと少し質問にイラついたのかそれとも絶望故か、宇佐美はスタスタと俺を置いて生徒会室に歩き始める。

 悪いが今の俺は正義のヒーローじゃない、東に病気の子どもが居れば消毒液をそいつの家の周りにぶちまけ、西に疲れた母がいれば大変そうだなと思いながらもそれを傍観する、南に死にそうな人あれば足元を見て薬を高値で売り付け、北に喧嘩や訴訟があれば、それを見て楽しみ煽りもっとやれと煽動する。

 今の俺はそういう人間のクズだ、何しろ力がない、だからそういう卑怯な真似しか出来ない。

 俺は小走りで彼女に追いつき話しかける。


「いじめの止め方知ってるか?」


「・・・わかりません」


「思いっきりやりかえしてやるんだ、いじめってのはだいたい、やり返してこない奴にしか始まらない、何かやり返してくるような奴をリスクまで負っていじめたいなんて嗜虐心のあるやつは奴はそういない」


「もし、それで収まらなかったらどうするんですか、もし反抗なんてしたらさっき以上にひどい目にあうのがわかっているのに・・・」


 まぁ、確かにそうかそんな嗜虐心のあるやつは少ないとはいったが・・・さっきの光景を思い直せばさっきの穴山はその少ないに入るかもしれないな。


「でもいじめを止めないと生きているのがつらくないか?」


「私にはノアがいるので・・・」


 ノア?ノアの箱舟?宇佐美こいつの彼氏の名前か?

 俺がその宇佐美のいうノアという人物が何者か考えていると生徒会室のドアの前にたどり着く。


「うがあああああああああああああ」


「ぐあああああああああああああああああ」


 ドアの向こう側から二人の絶叫が聞こえる。

 誰の声だ!?


「なにがっあったの・・・って」


 急いでドアを開けると長尾が唸り声をあげ髪をかきむしりながら書類を書いている。

 横の崩れそうなほど重なっている書類の束を見るとその大変さが伝わってくる。


「なにしてるの、これ?」


 横で長尾の終わった書類を分けハンコを押していた井上に話を聞く。


「生徒会はこの学園の行事とか部活の予算を管理していて、今は学園祭も控えているから業務が忙しいんだ」


「はっ!宇佐美に真田!遅かったじゃないか!」


 長尾は俺が来たのを見るとまるで砂漠の中のオアシスでも見つけたような嬉しそうな顔をする。

 この生徒会長だから俺たちが入ったのを喜んでたのかよ・・・

 唯は井上の隣に座り書類を井上とともに書類を仕分けしている。

 こいつらは頑張っているようだな・・・問題はそれより・・・


「いだだだだだだだだだ、もうやめろって!」


「じゃあ早く計算手伝ってよ!」


「それは・・・ぐぅ」


 直江が顔を赤くして柿崎に腕挫十字固めを食らって嘆いている。

 おいおい、あいつ俺と戦っていた時めちゃくちゃいかついイメージだったのに・・・柿崎の前ではまるで牙を抜かれた獅子もはや猫だ。

 あまりの印象の差に開いた口が塞がらない。


「直江、柿崎、宇佐美は幼馴染でね、とても仲がいいんだよ、特に直江と柿崎はよくああやってじゃれあってるよ」


 よくみたら柿崎の胸に直江の腕が当たっている。

 くっ、殺すぞ!俺の前で変な惚気してんじゃねえ!それか俺にその場所変われ!

 かくいう宇佐美は素知らぬ顔で目立たないように角の席で淡々と業務を始める準備を始めている。


「というか柿崎が会計って大丈夫なのか?」


 井上に顔を近づけ耳打ちで聞く。

 柿崎は雰囲気があからさまに頭の弱そうなギャルだ、あいつに任せたら会計書の桁が二個ほど増えることが予想できる。


「柿崎はあれでも頭はかなり良くてね、学園のテストの順位もいつも一桁だ」


 嘘だろ・・・!あのギャルっぽい見た目で!?

 先ほどの直江の一件で開き切った口がさらに空いて顎が外れるどころか地につきそうなほどだ。


「いいかげんにしろ、お前ら!俺が過労死してもいいのか!」


 それを見ていた長尾の我慢の堪忍袋の緒が切れたのだろう、長尾は席を立ち大声で怒り始める。


「うーん私はいいけど~」


「俺も別にいいかな」


 直江と柿崎はどっちも質素な返事をする。

 それを聞いた長尾はガーンという効果音とともに白くなり席に落ちるように座る。

 まるでその姿はあしたのジョーの最後だ。


「俺生徒会長だよ・・・?俺だって苦労してるのになんで・・・?俺はいっぱい・・・」


 ぶつぶつと念仏のように何かを言い始める。


「気にしないで大丈夫だよーいつものことだから」


 それを気にし凝視し心配していた俺に対し柿崎はこの行動に対し補足を入れる。


「生徒会長めちゃくちゃ強いのにメンタルクソ雑魚だからすぐこうなるんだよねー」


 俺は死んでしまったような顔をしている長尾に向け手を合わせる。

 ドンマイ、会長。


「仕方ないな~説明役の会長が死んじゃったから、会計は直江にやらせて宇佐美と私と倉庫の今日使う備品取りに行こうーオー」


 柿崎は元気に腕を上げる。


「「お、おー」」


 俺と宇佐美は遅れて動揺しつつも腕を上げる。


「まてよ、備品なら俺が」


 直江が柿崎が俺らと備品を取りに行こうとするのを止める。


「えー何ーもしかしてそんなに私といきたいの~?」


 柿崎は意地悪そうな顔で直江に小悪魔のような問いかけをする。


「な、なわけないだろ!」


 直江は顔を真っ赤にして叫ぶように大きな声で答える。

 この女もしかして直江をすでに攻略済みなのか・・・彼氏がいるのに・・・おそらくキープというやつだろう、直江もいくら幼馴染とはいえ彼氏持ちを好きになるとはな。

 心の中で直江にもご愁傷様と手を合わせる。






 俺、宇佐美、柿崎は三人で備品のある倉庫に向かった。

 しかし柿崎は流石人気者といったところだ、道を歩けば四方から目線とあいさつがとんでくる。


「あ、柿崎~じゃね~」


「じゃあねー」


「柿崎先輩!これ手作りのクッキーです食べてみてください!」


「ああ、ありがと~」


 あまりの人気の光で俺と宇佐美は存在を忘れられてるんじゃないかというほどだ。


「お、柿崎じゃん」


 そう話しかけてきたのはさっき宇佐美をボコボコにした穴山だ。


「げ」


 それを見た柿崎は一瞬嫌そうな顔をしたあとさっきと同じ笑顔に戻る。

 宇佐美はびくびくしてまたうつむき目を合わせないようにする。


「なにしてんの~」


「宇佐美にいろいろ頼み事しててさぁ、な!」


 穴山はそういうと宇佐美に肩を組む。


「は、はい」


 宇佐美は恐怖でおおわれていつもよりもトーンが低く、いまにも消え入りそうな声をだす。


「なに、柿崎はこいつと仲いいの?」


「え、いやいや~そんなわけないかな~」


 柿崎は少し戸惑いながらも宇佐美との関係性を否定する。

 学校の人気者も武田家幹部には強く出れないわけだ、いじめられてる奴と仲いいってわけにもいかないだろうし、大変そうだな。


「てかさぁ、なんでお前課題大変って言っておいてまだ学校いんの?早く帰って俺の分もやって来いよ」


 穴山は獣のように怒りはじめそれを宇佐美に向ける。


「こ、これを片付けたらすぐ」


 ガシッ


 穴山は宇佐美の首を片手で掴み締め上げる。

 それと同時に何かあったことをかぎつけ野次馬が集まり始める。


「うう・・・」


「なぁ、お前マジで使えないな、速く死ねよ」


 穴山はそういうと締め上げる手の力を強める。

 おい、これ死ぬかもしれないぞ。

 助けられそうな柿崎を見ると柿崎は悪そうに眼をそむける、周りの奴らも関わらないように見ていないふりをしている。

 可愛そうと思いながらも何もしないクズどもに、やられてもやり返さないクズ、相手をいたぶり楽しむクズ、そしてそいつらを見下している俺というクズ、クズばかりだ。

 強者が弱者を食らうのは自然の摂理だ、いたぶるのだってそうだ、弱者は常に搾取される、俺は強さこそが正義だと持っている、だから強くなってきた、ただこのあからさまないじめを見過ごすってのは弱さなんじゃないのか?・・・俺はこいつらと同じ弱者じゃない、俺は最強の佐山伊吹様だ!


「ダサいよ」


 俺は穴山の腕をつかむ。

 本当は傍観してみているだけのほうがいいのだろう、綾瀬ならそうする。しかしこの光景を見て見ぬふりをつづけるのは俺の中では耐えられる行為ではなかった。

 弱者を食らうのが強者の特権とするなら助けることもまた強者の特権だ。


「あ?なんだ?もう一回大きい声で言ってみろよ」


 真壁は大きく威圧し顔を近づけて言う。


「そうやって反抗しない奴をボコボコにすんのはさ、って言ってるんだよ」


 柿崎と宇佐美やそれを見ていた野次馬どもは俺の行動に目を見開いて驚いている。

 穴山はそれを聞いた瞬間標的を俺に変え殴り始める。


 ボゴッボゴッ


 俺は一切反抗せずその攻撃を受ける。


「さっきの威勢はどうしたよ!」


 反抗したらまたこいつの中の鬱憤を貯めさせてしまう、それにこの視線の中強さを少しでも見せるのはリスクがある、躱さず、防御せず、弱者を演じろ、穴山のサンドバッグになるんだ。

 目立たずに宇佐美への攻撃をやめさせるにはこれしかなかった。

 穴山は俺が反抗しないとみると攻撃を激化させる、顔面を集中的に狙っているのがわかる。


「女の前だからってかっこつけといてこの程度かよ雑魚!」


 ボゴッ


 鈍いジンジンとした痛みが全身をはしる。

 痛みには慣れているから余裕だと思っていたがやっぱり意外となれないもんだな。


「うっ・・・」


 穴山は散々俺を殴った後また宇佐美の方に行く。


「宇佐美ぃ、お前んちには大事なペットがいるんだってなぁ 」


「なんでそれを・・・」


「殺してやるよその犬」


 穴山が宇佐美の耳元でささやく。


「ノアは・・・ノアだけは・・・」


 ノアとは宇佐美が飼っている犬のようだ。

 苦しそうな宇佐美の瞳は赤く光りだし、ゆっくりと立ち上がる。


「それだけは・・・」


「なんだぁ?やるか?」


 穴山は宇佐美の行動を笑いながら見ている。

 俯く彼女の瞳は赤く染まる。

 俺はこの宇佐美の赤い瞳の現象が何か知っている。

【重症化】の予兆だ。

【重症化】とはペーシェントのみにおこるいわゆる、能力の覚醒、一時的に能力が暴走気味になるが、それを操るものは他のものとは一線を画すシックの強度を得られる、しかし誰でも得られる訳では無い、才能と度重なる激情がそのシックに感化され影響されるものだ。


【重症化】にも進行具合がある、ステージは4まであると言われステージが上がる事に能力は強化され、同時に暴走具合もあがる。

 ステージ3まで言ったものを何人か知って居るがステージ3は特にシックの暴走が強く皆暴走を止められずに死んで行った。

 ステージ4は未だに見た事がない、存在も聞いたことがあるだけであやふやだ。

 ちなみに俺はこの前の卜伝戦で【重症化】したが理性が残りほぼ完全にコントロールしていたのを見ると恐らくステージ1といったところだろう。

 そして宇佐美、彼女もその【重症化】のステージ1にいると思われる。

 そうだ、宇佐美にはある、才能が!どんなものかはわからないがきっと強力なシックだ!

 決めたぜ、宇佐美、今生徒会を変えられるのはお前だ!


 だがしかし今はそれより、ここでシックが暴走したら俺が今まで殴られた意味が無くなる、いやそれどころか俺の命が危ないかもしれない。

 これは俺がもう人肌脱ぐしかない。


「やめろって、言ってるだろ、このチンカス野郎!」


 ヨロヨロになりながらも立ち、穴山に向け大声で挑発する。



「威勢だけはいい野郎だなぁ!」


 ボゴォッ



 俺は穴山にタコ殴りにされた、完全なサンドバッグ状態、でもこれでいい完璧な演技だ。


「まだだ・・・」


 這いつくばった状態で穴山の足を掴む。

 目の上も腫れて視界も悪い。


「チッ、気持ち悪い野郎だなぁ!」


 ドガァッ


 穴山は俺の腹を蹴り飛ばす。


「何見てんだ、みせもんじゃねーぞゴラァ!」


 周りの視線に気づいた穴山は一蹴する。


「よく覚えとけよ宇佐美俺に次逆らったらこいつと同じようにしてやる」


 よし、よかった、これで終われる・・・。

 そういって穴山はさっさと帰っていくのを見たのを最後に俺の意識は飛んで行った。





 見知らぬ天井に、白いベッド、白い布団どうやら保健室まで運ばれたようだ。

 俺のベッドの両側には宇佐美と柿崎が座っている。


「いてぇ・・・」


 体全身がズキズキと痛む、窓の反射で自分を見ると、顔は腫れ、唇も切れている。

 我ながらなんて不細工な姿だ。


「大丈夫?」


 柿崎は倒れている俺に屈み、心配そうに俺を見つめる。


「すいません、私のせいで・・・」


 宇佐美は申し訳なさそうな顔をして目尻に涙をうかべる。


「別に大丈夫、俺がカッコつけたくてしただけだし」


 俺が適当な言い訳で宇佐美を慰めると彼女は更に泣きじゃくる。


「すいま・・うぅ・・・」


 なんで自分はやられてないのに泣いてんだよ・・・ったく。


「かっこよかったじゃん、弱かったけど」


 柿崎はいつも通りの元気満点の笑顔で語りかけてくる。

 どう考えても最後の一言余計だろ。


「どこがだよ、ボコボコでださかったさ、もう少しやれると思ったのにね」


「でも止めたじゃん」


「止めるくらいなら勇気があれば誰でもできるよ」


 要はやるかやらないかだと思うが・・・


「でもその勇気は誰にでもあるものじゃないじゃん、私はできなかったよ」


「そういうもんかね」


「そうだよ、じゃあ起きたし生徒会業務もあるから私もどるから」


 柿崎はそういうと生徒会業務をするために保健室から出て行った。

 あの言葉の意味、きっと柿崎は宇佐美を助けたかったのだろう、同じ生徒会の仲間の幼なじみを、しかしクラスのカーストや外見、生徒会にかかる迷惑を気にし動けなかった、そんな所だろう。大丈夫そんな日々も俺が終わらせてやる。

 横を見ると宇佐美は泣くのをやめているが、鼻をすすっている。


「本当にすいません・・・」


「自分が悪いと思うか?」


「・・・はい」


「だったらさ、見返してくれよ、俺も協力するから」


「・・・見返す?」


 宇佐美お前がこの負け犬人生、そして生徒会を変えるんだ。


「お前がやるんだ!巌窟王もびっくりの復讐劇をさ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る