第15話 「金(ポイント)で試験の点数を買うぜ!」←主人公
「どこだ此処は……」
辺り一面木ばかり。
微かに動物の気配もする。
どうやら学園長に強制的に移動させられたようだが……。
情報源は一つ。
配布された端末だ。
俺は端末の電源を入れる。
すると、さっきも見た画面に『左にスワイプしてみてね♪』と書かれていた。
画面の指示通り左にスワイプすると、スマホの様に画面が切り替わり、アプリのアイコンが表示された。
『実技試験概要』、『学園長クエスト』、『ショップ』、『魔獣の島マップ』、『受験者名簿』、『メール』、『電話帳』、『魔獣識別カメラ』。
今表示されている項目はこの八つ。
「一通り確認しておかないとな。取り敢えず、『実技試験概要』ってのを見てみるか……」
てかそもそも試験についての説明が事前にされていないのがおかしいんだけどな。
俺は『実技試験概要』を押す。
「【手ぶらで七日間サバイバル~in魔獣の島~】、これか。もう字面から嫌な予感がビンビン伝わってくるぞ……」
内容を要約するとこうだ。
・試験内容はこの島で七日間生き残る事である事。
・俺達受験者が居るのは魔獣の島と言って、異能と同時に現れた、動物が異能を持って変異した獣、通称魔獣を、学園島の技術を用いて再現した物が放たれている、魔獣の住む島である事。
・試験は加点方式であり、一日に一つ、『学園長クエスト』から発せられるデイリークエストをクリアする事で得点が加算される事。
・それとは別に、スペシャルクエストがあり、それをクリアすればポイントを獲得出来る事。
・他の受験者と協力しても構わない事。
・途中でリタイアしたい場合は電話帳から学園長宛てに電話をかけ、リタイアを宣告する事でリタイアが成立するという事。
この六つだ。
つまるところ、この島で、学園長からのクエストをクリアしつつ、魔獣の蔓延るこの島で七日間生き残れという事だ。
魔獣の住む島で七日間生き残るのはともかく、学園長からのクエストって言うのは物凄く不安だ。
あの学園長なら色々とやらかしかねない。
まあ、それは今考えても意味のない事、次だ次。
「流石に同じ受験者の名前くらいは知っておいた方がいいよな」
『実技試験概要』を閉じて、『受験者名簿』を開く。
・受験者名簿
暫定1位 布瀬瑛太 総合100点
暫定2位 キース・プライド 総合88点
暫定3位 シャーロット・テイラー 総合84点
暫定4位 黒澤天理 総合 総合83点
暫定5位 ジャック・ロビンソン 総合79点
暫定6位 神狩刹那 総合75点
暫定7位 レイチェル・ミラー 総合71点
暫定8位 桜庭有栖 総合70点
……名簿とは?
点数載ってるけど良いのかこれ。
まあ、一応名前は確認できた。
覚えているかはまた別の話だけどな。
次だ次。
『受験者名簿』を閉じて、『ショップ』を開く。
・ショップ
水(2L) 3pt 栄養食 二食分 7pt 簡易トイレ 10pt 簡易テント 15pt 受験者探知(1回) 20pt ……
結構な量の品目が並んでいる。
それらを流し見していると。
「は?何だこれ、マジで言ってんのか?」
【点数(1点) 10pt ※試験最終日に解禁】
試験の点数がショップで販売されている。
それも割とリーズナブルな値段で……。
簡易トイレと試験の1点が等価って……。
なんていうか、うん、何だろう、この感じ……。
「ん?」
そこまで考えて、俺は一つの考えに至った。
先程、『受験者名簿』を見て分かった事がある。
学園長は言っていた、有栖は及第点ギリギリだったと。
有栖の予備試験の得点は70点。
つまり、予備試験の合格点は、大体65~70点以上と言った所だと考えられる。
予備試験、実技試験、筆記試験総合で195~210点程取れば合格と言った所か。
そして、俺がこの試験に臨む上で、一番ネックとなるのは、言うまでも無く筆記試験だ。
これに関してはかなりヤバい。
それはもう対処のしようもないくらいにヤバい。
ぶっちゃけ最悪0点も有り得る。
まぁ、俺は試験0点でも麗華のコネで合格できるが……。
――コネの人と言われるのだけは絶対に嫌だッ!!!
だがしかし、幸運な事に俺は、一つ目の試験で100点を取って、どうやら110ptも持っているらしい。
この時点で、俺がこのままこのポイントを維持し続けるだけで、既に11点も後付けで獲得する事が出来るという事だ。
俺のこの試験での方針は決まった!
「俺は試験最終日まで、成るべく沢山のスペシャルクエストをクリアして!ポイントを沢山稼ぐ!そして最終日!俺は試験の点数を買う!」
筆記で0点取っても最悪体裁が整うように!!!
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