第6話

「流夜!お弁当、忘れてたよ!」

俺は夢でも見ているのだろうか。無意識に頬をつねる。

「万莉…!」

俺の前に居るのは、見まごうことなき美少女。

「ありがとう!」

「えへへっ、褒められちゃった。

あっ、そういえば、来週のデート楽しみにしてるよ。じゃあね。」

「……………。」

この後どうなるのか、何故か分かった。嫌な予感しかしない。

「流夜く〜ん?あの子はだあれ〜?」

笑顔で話しかけてきた、友人の一人、青空。

いつにもましてフレンドリーな口調なのだが、威圧感を感じる。

「流夜く〜ん?」

青空が俺の肩に手を置く。

「いっ、痛たただただ…!くい込んでる、爪が…!くい込んでる!」

やっと手を離してくれた。

「酷いわ!将来、アタシと一緒に魔法使いになって結婚しようって言ったじゃない!!」

「そんなの一言も言ってないんですけど…!!っていうか、ばりばり男の声でオカマ語しゃべるんじゃねえ!気持ち悪いわ!」

「ジトー。」

何だか視線を感じる。

「流夜っち君ってそっち系の人?」

俺の友人の菜美だった。

「違うわー!」

「ふっふっふー。隠さなくてもいいんだよ、流夜っち君。青空っち君✖流夜っち君ってなかなか良いと思うよ?薔薇姫主催のお似合いカップルランキングでは、1位にランクインしてたよ。」

「はいはい、変な誤解しないでくださいねー!妄想は、頭の中でお願いしまーす!!」

この日は、菜美の誤解を広めないために奮闘しなければならなかった。

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