第3話

「じゃあ、行こっか?」

「ああ。」

男子諸君からの視線が怖いが、思いっきり知らんぷり。だが、この時は気づいていなかったのだ。この視線を送る者たちの中に一人の女子生徒がいることに。


「じゃあ、ここ行こ?」

「ああ。」

と、いうわけで、一度帰って着替えてから、映画館に行くことになった。

「また後でね?」

「ああ、また後で。」

真姫と別れた後、何だか視線を感じる。気のせいだろう。そういう事にしておく。


「待った?」

「いや、今来たところだよ。」

実際は5分ほど前に来ていたのだが。

「じゃあ、入ろ?」

どうやら、みるのは恋愛映画らしい。


「面白かったね!」

「ああ!めっちゃ面白かった!!」

本当に面白かった!何十年も前の作品だが、とても面白かった。妙に既視感があったのは気になるが…。


外に出ると、もう夕方だった。随分と長い間、映画を見ていたらしい。

「あー、もうすぐ終わりかー…。」

「最後にここ行こ?」

そう言われて連れてこられた所を見て、玲は驚愕した。確かに景色はとても綺麗だった。だが、そうではない。既視感があった。よく覚えてはいないが、自分はここに来たことがあると確信した。

「なあ、真姫。俺ってここに来たことがある気がするんだが…。」

「来たことあるよ。今日のデートは、私達の最初のデートを再現してみました〜!!」

「ってことは…お、俺達って付き合ってるの?」

「玲の前世ではね。だから、付き合おう?」

「ああ、付き合おう…!」

「現世でも恋人同士だね!」

チュッ。

えっ、い、今、何が起こったんだ?頭が混乱する。そのぐちゃぐちゃになった頭でも理解できた。キス、したのだ。

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