ずっと好き
るり
第1話
「ずっと好き。だから、ね。もう少し、あともう少し、待っててね。」
愛しいあの人に愛を囁く。今のあの人は、私の事はまだ知らない。
(ずっと好き。だから、ね。もう少し、あともう少し、待っててね。)
「誰の声だ?」
「ん?玲、独り言?」
「あ、いや、何か女の子の声が聞こえた気がして…。」
友人の紗綾は、それを聞くと、憐れむような眼差しを向けてきた。
「何だよ…?」
「玲、ついに…、脳が…?」
「失礼な!言っとくけど、脳内彼女なんて作ってないからな?」
「いや、信じたくないけど、玲ならありえるかも…。」
「あのー、紗綾さーん?聞いてました?俺、言いましたよね?」
「彼女いない歴=歳の玲なら、その悲しみを埋めるために…。」
「作ってないからな!!」
「エェ?ホントニー?」
「明らかに疑ってますねー。でも、本当に違いますよ!!」
「玲の脳が大丈夫だったら、なんでだろーねー?」
まだ訝しげな目で見てくる紗綾を置いて、学校ヘ急ぐ。
「えー!ひどーい!!そんなんだから、彼女できないんだゾ☆」
うん。もうコイツは放っておこう。これが正しい判断だ。
学校に着くと、友人の亮が居た。
「おう。玲、おはよ。」
「おはよ、亮。」
「ねぇねぇ、亮ちゃん。玲がねー。」
まずい。言わせてはならない。あらん誤解を受ける。言われたら最後だ。
「あー!!!」
「どうしたんだ、玲?」
「コイツなんか放って行くぞ!」
「お、おう。」
「もー!ヒドイゾ☆」
「玲、さっきのどうしたんだ?」
「何でもないんだ。」
「ふーん。あっ、そういえば、今日、転校生が来るらしいぜ。」
「まじ!?それにしても、中途半端な時期に来るんだなー。」
今日は、6月20日だ。学校が始まるのは、4月からなのに。
「何でも、急に転入が決まったみたいだ。」
「そりゃ、大変だな。」
上手くクラスに馴染めるのだろうか?
「それでな、その転校生が入るの、ウチのクラスらしいぜ。」
「えっ?」
キーンコーンカーンコーン。
「今日は転校生を紹介します。入ってきてください。」
「はい。」
その声を聞いて、玲は驚愕した。確かに、綺麗な透き通った声だ。だが、そんな事ではない。その声を玲は聞いた事がある。朝、聞いた声だったのだ。
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