第2話……騎士団長
金髪メイドのシトリンは、クリスタル騎士団へ案内してくれた。どうせ行くアテも無かったし、もしかしたら入団できるチャンスかもと考え、俺はついていく事にした。
「こちらですよ、エドウィン様」
にこっと微笑みをくれるシトリン。俺はその笑顔に癒された。……ちょっと惚れそうかもな。
かなりしっかりした大きな建物の――少し
「ここは?」
「この中に騎士団長・ベリル様がおられます。どうぞ、中へ」
なぜか一人にされ、俺は歩いて行くしかなかった。なんだ? シトリンも来ればいいのになあ。
中は小さな闘技場だった。
その先には銀髪の女騎士がいて、静かに
……な、なんて綺麗な人なんだ。
肩まで伸びる銀髪。エメラルドグリーンの瞳。軽装アーマーは豪華な装飾が施されていて、ダイヤモンドのように輝いていた。
「貴女が……騎士団長?」
「ようこそ、クリスタル騎士団へ。歓迎しますよ、エドウィン。先程は我がメイド、シトリンを助けて戴きありがとうございます」
いきなり名前を呼ばれ、俺はギョッとした。
「な、なぜ名前と事情を知っているんだ」
「貴方はあの有名な侯爵家の令息。そして、事情はあの塔から見下ろしていたので、全て把握済みです」
あの塔? と彼女の指さす方向を振り向くと、そこには長く伸びる監視塔があった。ああ、そういえば敵軍を見張る為の塔があるって親父が言っていたな。
「そうだったか。改めて俺はエドウィン・ハークネス。実は、その親父の家を追い出されてしまってアテがないんだ……」
「そうでしたか。それはお気の毒に……では、シトリンを助けて戴いたお礼がありますし、我が騎士団で泊まって下さい」
「おお、それは助かる。騎士団長・ベリル、感謝する」
「いえ、わたしの事はベリルとお呼び下さい。ですが、ひとつだけ確認したい事があるんです」
その通り、切り掛かってきた。
「うああああ!!」
「ていやああああッ!!」
レベルが上がっているお陰で一撃は回避できた。だけど、凄まじいスピードだ。このままでは……死ぬ。そんな、メイドさんを助けたお礼がこれかよ!?
もういい、こうなったらレベルを食べてやる。あの無駄にスタイルが良くて、胸の大きい騎士団長・ベリルのな!!
……まて、そう思うとなんかちょっと背徳的な。いや、仕方ないだろう! このままだと切り殺されちゃうし。
「レベルイーツ!!」
ドンっと視界が切り替わり、ベリルのレベルが表示された。なんと『Lv.560』もあった。まてまて! 普通の騎士でも『Lv.50』が良いところだぞ。とんでもねぇレベルを持っている。さすが騎士団長だな。しかしそれを全部、喰う? ああ、喰ってってやる。
「はぐはぐはぐはぐはぐはぐッ!!」
猛スピードでレベルの塊を口に納める。向こうからしたら奇妙な光景が続いているだろう。だが、俺にとってはこれは食事の一環。
「!? エ、エドウィン……何を。む、わたしのレベルが……下がっていく? やっぱり、そういう事なのですね。参りました」
両手を上げる騎士団長。
今や彼女のレベルは『150』あるかどうか。ふぅ、喰った喰った。ふわふわのもちもちだった……まるでマシュマロだな。
「アンタのレベル、美味かったぜ。ご
「……レベルを食べられる男とは、そんなの聞いたことがないです。その力でシトリンも助けてくれたのですね。……素晴らしい。ええ、大変素晴らしいです、エドウィン。わたしは貴方を気に入りました」
トコトコと寄ってくるベリルは、俺の目の前に。近ッ! その、良い匂いとかヤバイっす……。あんまり女性経験のない俺は、ちょっと……いや、かなり心臓が高鳴っていた。バックンバックンだぜ。
「き、気にってくれるとか嬉しいね」
「ええ。その、わたしは貴方のような変わった人が好みなんです。実は、ここ最近までお父様の紹介でお見合いばかりでウンザリしていたんです。でも、紹介される男性はどれも似たようなつまらない人ばかりだった……でも、エドウィン、貴方は違うのです」
俺を手を握って包み込むベリルさん。……ちょ、あれ。なんか頬も赤いし、瞳も潤んでいるし……様子がおかしいですよ?
「でも、俺は騎士とかじゃないし、ただの没落貴族だよ? もはや、ただの平民ってワケ。なんの価値もない平凡な男だ」
「そんな事はありません。わたしの大切なメイド、シトリンを助けて戴いた恩があります。ですから、赤ちゃん作りましょう」
「へ……」
なんか段階をかなりすっ飛ばしているような。いきなり、そっち!?
「さあ、わたしの部屋へご案内します」
メロンのような胸を押し当ててくるベリルは、俺を離すまいと腕を絡めて来た。……こ、これは……! 体が熱い。異常なまでにッ! なんだ、なんだこの初めて感じる感触……すげえ、すげぇぞ。
酷く体温が上昇し、俺はやがて顔が真っ赤に燃えた。……だ、だめだ、もう……意識が。
俺はそのままぶっ倒れた。
けれど、たぶん、俺は騎士団長に
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