夢見た夜の砂

@krktkm_ru

第1話

ふと目が覚めた。外は暗くて星がピカピカしてるから夜だ。でも、お布団の上じゃない。

柔らかくて黄色と白が混ざったような色の砂の上だ。横に人がいてボロボロの古い布を着ている。その人に僕が「ここはどこなの?」と訪ねても首を斜めにしただけ。多分おしゃべりが出来ないんだな。悲しい。僕はお家に帰らないと行けないと思ってその人にお願いして一緒に家を探しながら、帰ることにした。どんなに歩いても一面変わらない景色。しかし、しばらくしてあっちの空でオレンジと赤が混じったような灯りが見えた。ボヤボヤしてたけど温かさを感じてそこに走ろうとした。すると横の人がグッと手を掴み離さなかった。まるでそっちはダメと言っているよう。でも、それが何かは僕知りたくて無理やり走りその方向へ行くことにした。手は繋がれたまま、進んだ。意外と、すんなり進めた。ずっと、その灯りの方へ進むと途中大きな木が道端にいくつも倒れていた。よく使われていたのかわからないけど、所々黒かった。僕がその木に触ろうとすると横の人は必死に止めた。意味が分からないけど、今回は僕も力負けした。大回りして回避して進んだ。途中疲れて僕は座り混んでしまった。横の人は不安げに僕の顔を覗き込む。僕はダメもとで

「お腹空いた」と無邪気に一言発した。するとその人は一生懸命手を汚してまでも砂を掘り

食べ物をくれた。今思えばなんで砂の中にご飯があったかはわからないが欲に正直で、無邪気な僕は気にせずたらふく食べた。その人が痩せて見えた。灯りはだんだんと強く光り、温かいより暑くなった。意識がフラフラしてきた。砂もだんだん黒ずんできてやがて黒くなった。咳も止まらない。横の人はそっと僕の背中をなでた。でも、まだ僕はそのあかりの正体を知りたくて進もうとすると横の人は手を繋いだまま、僕をぐっと抱いて行かせないようにした。僕はカンカンに怒った。でもその人を殴ったり、叩いたり、蹴ったりは出来なかった。したくなかった。失いたくなかった。やがて僕の心の中は暑い、暑い、暑い。ただその一言だった。その人の重さで僕は立ち上がれず僕は静かに泣いていた。

今思えば悔し涙ではないとだけ覚えている。

気づけば当たり1面真っ赤な灯りに囲まれていた。僕の頬にも水滴がポツポツついた。




-2021-

蔵波 勇語。サッカー部。高校1年。生まれたときに父は他界し、母は僕が5歳の時に無くなった。今親戚の家で過ごしている。不自由ないというと嘘になるが年金暮らしの家がために

制約が強いが、じぃじとばぁばは僕のことを怒らないので問題はないかな。ある日じぃじとばぁばは僕を居間に呼び出した。ばぁばは眼鏡を置いて、「あんたさ、幸せ?」と訪ねてきた。僕は半分嘘で「もちろん」と答えた。

じぃじは続けて言う。

「あんたは父ちゃんのことは知らんと思う。けどさ5年間も一緒に過ごした母ちゃんのことを知らないてのはダメだ」

僕は言う。

「父ちゃんのことは知らねぇ。母ちゃんだって知らねぇ。たった5年だ。写真で見たから顔わかるけどほんとそれだけ。俺を置いていったからな。」ばぁばが泣いていた。じぃじが涙声で

「置いていったって言うな。むしろ残してくれたんだよ。」

と言った。初めて、怒られた気がした。じぃじとばぁばは泣いているけど俺だけ泣いてなかったからどっちが怒られてるか分からなかったのかもしれない。じぃじは鼻をかむと話始めた。

「お前が5歳の頃、お前の家は火事になった。お前はまだ5歳で火の怖さを知らねぇのかどんどん発火した所へ近づいて言ったらしい。母ちゃんはそれを手を掴んで止めようとするけど叶わなかった。もともと何もない貧しい家だけど燃えるのは一瞬だった。でもお前は進むからお母さんは手を掴んだまま進んだ。独り身でお前を育て、金を稼いでいる体の疲労は5歳の子供の力に勝てずどんどん火が近づいていく。途中家の柱が倒れたりしたらしいがお前はそれさえ無邪気に触ろうする。火事場の馬鹿力でお前をドアの方へ引くことに成功してもお前はすぐ座り込んだ。そして腹が空いたのか、熱いのか、泣きわめいた。母ちゃんも泣いてたんじゃねぇか。そんな少量の水で消火できるわけもなく火に囲まれた。母ちゃんはお前を泣きやますべく近くの戸棚にあった、缶詰をお前に食わしたよ。酷だが、それは万引きして取った缶詰だって噂さえあったよ。そのぐらい窮屈な生活もお前の中に色褪せず残ってるのは母ちゃんのおかげだ。お前たちのドアへの道は完全に塞がれた。お前の母ちゃんは倒れてくる柱からお前を守るためにお前に覆い重なり、守った。消防隊が突入してるくるまでその格好だったらしいよ。やがて、母ちゃんが死に、お前が助けられて事件は終わった。」

フライングしたばぁばにも追いつくぐらいに僕の涙は溢れていた。あの時にこのぐらい出てたら火は消せてたかもな。じぃじなんて見たことないぐらい顔を赤くしてた。ばぁばはヒクヒクと引きながら、話しを続けた。

「遺骨は焼け消え、何も残らなかった。でも、消防隊に抱き抱えられたお前の手が握っていのは誰の手でもなく、焼きちぎれたお前の母ちゃんの手だった。ただそれだけ墓に埋葬してある。」3人とも皆泣いていた。途中宅配便が来たらしいけど気づかなかったのか無視したのか。

部活が休みの日曜日、その墓に出向いた。

じぃじとばぁばは来ずにいた。そして僕はあの時流せなかった涙の分母と対話し、笑った。でも、母は、多分おしゃべりが出来ないんだな。

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