サクラの舞姫 〜a folk tale of the far east Zipangu 〜 舞い散る桜の如く 【前編】

山咲 里

〜序章〜      輪廻の輪。


『黄昏包む、久遠の御霊。


気高き桜花、その舞、花吹雪の如く。


言霊より願いしもの、その意と身をもって宣詞となす。


名残の花も花屑となりて……。』







例え離ればなれになろうとも。


例え時が私達を阻もうとも。


私達はいつの日か必ずまた出会える。



それは、その長い坂を上った先の広い公園に架かる、紅い橋の先に在った。


貴方達は私に色々なものを与えてくれた。


無気力な私を変えてくれた。


そして希望を捨てずに生きた、あの日々を忘れない。




例え私だけが永遠に巡ろうとも。


私は命を賭けて貴方達を守る。




だけど……。

私は一体、何度同じ時を廻ったのだろう……。



でも、もし……もし私が解き放たれる日が来るのなら。



その時は……。































          














  










ステレオから流れる地元ラジオ。


いつもと変わらない日常。


何も起きない事がどれだけ幸せな事か。


どれだけ平和な事か。



それを知る者は、この街にはいない。




皆んな退屈だと言う。


あの頃は私も含めて、皆んなそう思っていた。


それがどんなに幸せな事か。


だからこそ、私は皆んなと共に過ごしたあの日々を、決して忘れる事は無いだろう……。




『今日はラジオネーム……あれ? 匿名の方からの投稿です!

なんでも、ここ栃木県小山市には古くから細々と受け継がれてる伝承? 歴史?? があるらしいのです。


今日からこの時間は、その話を読み上げて行こうかと思います!


私もこの街の人間ですが、こんなお話が有ったんですね〜〜! こんな田舎に!

あっ、すみません! 地元有る有るの自虐ネタですね。


でもこのお話、面白いんですよ!

私もOAの前に拝見したんですけどね〜〜!




それでは読みますねっ!


ええ〜〜と。遥か何百年も昔の、剣を振るう美しい巫女さんの、輝かしくも儚い物語。




舞い散る桜は二度と元には戻らない。


だが春が来れば、桜はまた咲き誇る。


桜の花の様に、この物語が色褪せる事は決して無い。


色褪せてはまた蘇る。


桜の花の様に蘇る。





そう、私は舞い散る桜のごとく。


そう、あなたは大地を照らす太陽のごとく。


そう、友は暗闇を照らす月光のごとく。




例え桜の如く儚く散ろうとも


私は舞おう。


そして輪廻の輪の中で、またきっと巡り会うだろう。


私だけは永遠に。


散ってはまた春に咲く桜の花の様に。





我こそは……。



須佐之男命すさのおのみことが巫女、破邪はじゃつるぎ舞姫まいひめなり!』




  

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