第17話 婚約破棄の翌日➂ フィリップ視点
「とりあえず今後の方針だが、お前が公衆の面前で婚約破棄を突き付けたことは既に知られている。それ故、軽々しく撤回は出来ない。だからお前が新たに婚約者に望んだ男爵令嬢にはお前の婚約者として相応しい相手になれるよう、王妃教育を受けさせる。そして、その教育のテストで及第点が取れたら、公爵家か侯爵家の中でどこかの家に養子縁組してもらい、正式に婚約という形になる」
「皆の前で宣言したからそのままエミリーと婚約出来るのではないのか!?」
「そんな訳がないだろう! 皆の前で宣言したらそのまま認められると思ったのかもしれないが、それは甘い考えだ。お前は仮にも王太子。その相手の見定めはあるに決まっているだろう? ましてやシルヴィア嬢を押しのけてまで選んだ相手だ。さぞシルヴィア嬢よりも優れているところがあるんだろうな?」
「ええ、陛下の仰る通りですね。生まれで人を判断する訳ではありませんが、男爵令嬢が王太子の婚約者として認められるにはかなり道のりが遠いです。王族の伴侶として相応しい家格の公爵家や侯爵家に養子にしてもらい、それから王家に嫁ぐにしても、マナー関係一切出来ません、教養がありませんでは養子になんて認めてもらえませんよ。そんな娘を養子にした家の恥になります」
そういうものなのか。
なら、エミリーに頑張ってもらうしかない。
「私からエミリーに伝えておく。頑張るよう応援しなくては!」
エミリーも私と結婚する為ならきっと頑張ってくれるだろう。
「何を言っている? お前もだ」
……!?
私もだと……!?
「今回の件は一回の失敗だが、本来ならこの一回で廃嫡ものだ。お前は”たかが一回の失敗で……”と思うかもしれないが、私達は基本的に失敗は許されない立場にいる。私達が施策に失敗して割を食うのは民だ。だが、今回のことはお前を甘やかしていた私達にも非がある。だからチャンスをやろう。お前も男爵令嬢と一緒に勉強しろ。そして及第点が取れなければお前は廃嫡し、エドワードに立太子してもらう。それが嫌なら励め。勉強はしたくないが、王太子の地位は手放したくないというのは一切認めない。テストは一ヶ月後に行う」
嘘だろう!?
勉強なんて死ぬほど嫌いなのに……!
「そ、そんな……」
「一応念の為に言っておくと、婚約破棄をなかったことにして、
父上から冷たく退室を促され、執務室を後にする。
父上が最後にシルヴィアがどうのこうの言っていたような気がするが、全く頭に入ってこなかった。
執務室を後にしたが、行く当てもなくふらふらと彷徨う。
そして気づいたらいつの間にか自室に着いていた。
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