第4話 アイス・ハート



(永遠に閉じられた氷の中に)

(一番大事なもの 閉じ込めて)

(感情ごと凍り付いた)


 永遠の雪が降り積もる大地

 春が来る事を忘れた世界


 誰も知らない

 生命が芽吹く瞬間を

 柔らかく降り注ぐ陽の 温もりを


 冬の祝福は

 氷の女王がもたらした


「彼女は孤独だった」

「たった一人きりで、雪の降り積もる白い雪原にいて」

「来るはずのない約束のあの人を待っている」


 温もり奪い去る

 冷たく刺した寒さは

 生き物達から 命すら

 無慈悲に奪い去っていく


 流した涙も凍り付いた

 感情さえ 動かす事が許されない

 泣いた者から 消えていく

 心折れれば 凍てつく冬に魅入られてしまう


「氷の女王は冬の中で待ち続ける。約束のあの人を」


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