四人目 復讐は当事者のみならず その七
佐藤は裸にされ今にも数人の男共に襲われそうな状態。
「話すから助けてくれ! なあ、頼むよ!」
首だけをこちらに向けて叫ぶ。バアルを見て頷く僕の意図を汲み取り、
「止まれ」
と一言発すると、男共が一斉に動きを止めた。スマホのカメラを向け撮影を開始する。
「駿に頼まれて大磨を最初に犯したのは俺だ。それから、奈緒美が撮った下着姿とか犯した時の動画も俺のスマホに保存したままで……。それを使って大磨を脅して、亮太と一緒にヤりまくったよ……」
撮影を止め、グレモリーに言う。
「グレモリー、確かめてくれ」
「はい、主」
佐藤のズボンのポケットからスマホを取り出し、中身を確認させる。
「ありました。証言通り、主の姉君の写真や動画が保存させています」
「性欲まみれね~。人間らしいと言えばそうなのでしょうけど。夏目ちゃんは見ない方がいいわ~」
見るわけがない。いいや、見れるはずがない……! 姉さんのそんな姿……!
想像すらしたくないよ!
「グレモリー。そのデータごとそれを壊せ。それと、他にも姉さんにしたことは?」
「犯したこと以外、してねぇよ……。それより、俺のスマホをどうする気だ⁉」
「決まっているだろ? 姉さんのそんな姿、貴様の下に残すわけがないだろ。跡形もなく消し去るんだよ」
「ま、待て! データを消すだけでいいだろ⁉ なにも壊すことないだろ!」
グレモリーに向かって、顎でやれと指示を出す。グレモリーはその命令通り黒炎を作り出し手の平に置いたスマホを焼く。
黒炎は、塵も残さずスマホを消滅させる。それを見た佐藤は叫ぶ。
「ああああああああああああああっ! 俺の、俺のスマホが! お前! ふざけんなっ! なにしてくれてるんだよ! 返せ! 俺のスマホを返せよ!」
スマホを壊され怒る佐藤を無視して問いかけを続ける。
「何故、姉さんが貴様らに虐めを受けなければならなかったのか。貴様は知っているのか?」
「そんなことはどうでもいいっ! 俺のスマホの方が大事だろうが!」
「…………。バアル、男共を動かせ。話す気がないなら、その気になるまで男共の相手をしてもらうまでだ」
「いいいぜ、夏目。お前ら、お待ちかねの陵辱タイムだ」
僕の命令にバアルは笑みを浮かべ指を鳴らそうとする。その光景に佐藤は顔を引きつらせ焦りだす。
「ま、待ってくれ! 話す! 話すから!」
「じゃあ、さっさと吐け。夏目を待たせるなよ、人間風情が」
「しゅ、駿が最初に言い出したんだよ! 大磨を虐めろって。それを俺と亮太に言ってきて、それに乗っかるように真理子と奈緒美も。全員、駿に協力する形で虐めが始まったんだよ! 駿がどうして大磨を虐めろって、言い出したのか俺にも分からない。本当だ! 本当に分からないんだよ!」
一ノ瀬駿。奴が全ての元凶ということか。以前に語っていた話が本当のことなのか、それとも作り話なのか。これ以上、こいつは知らないとみていいだろう。
「なあ、話したんだからここから出してくれ! なあってば!」
どのみち、こいつも一ノ瀬も復讐相手には違いない。話が聞けたのなら、続きを再開しようか。
「さて、再開といこうか」
「はあ⁉ 話せば出すって言っただろ! 話が違うじゃねぇかよ!」
「いいや、違わない。全部、終わったあとでそこから出す。僕はそう言ったんだよ」
「はあ?」
「分からないか? 僕が言う全部ってのは、貴様にする復讐の全てが終わってからという意味だよ。話せば終わりなんて、言ってないだろ」
「ふ、ふざけんなっ! お前の言い分なんてどうでもいい! ここから出しやがれ! くそが!」
喚き散らす佐藤。そもそも、貴様らを生かしておく理由は僕にはないんだよ。
その牢獄の中で姉さんにしたこと以上の苦痛を味わえ。
「バアル。もういいぞ。やれ」
「やっとか。お前らも、もういいぜ。思う存分に壊れるまで犯しまくれ」
指を鳴らすバアル。顔を蒼白させ、右手は鉄格子を掴み、左手は鉄格子の間からこちらに向かって伸ばす。しかし、動き出した男共に足や腰を掴まれ奥へと引きずり込まれていく。
「や、やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
牢獄の中に木霊する佐藤の叫び。
僕は、今から行われる行為を暗くかろうじて確認できる奥へ冷めた思考で視線を送る。
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