この王国学生が作ったそうですよ

雨音愛里

一章・異世界で国を作る事になりました

第1話・理事長の思いつき

「君たちに王国を作ってほしい」


 校庭に集められた生徒の大半は理事長の突然の思いつきに唖然としていた。


 なぜなら国を作れと言われたら、誰だって高校一年やそこらで無理だとしか言えないだろう。


 だが、理事長は「もう土地は確保済みだ」と笑顔で言い放つ。


 そんな国一つ作る土地がこの日本にあるはずがない。


 まさかとは思うが、無人島を一つの国に変えろとかいう話しでもなさそうだと、八重樫小雪やえがしこゆきは思った。


 理事長の顔はすごい人が悪そうな表情に変わる。


 小雪はため息を吐いて面倒くさそうに話の腰を折る。


「理事長先生は私達にどこで国を作れっていうわけ?バカなんじゃないの?」


 小雪は意地の悪い顔でそういった、それを女理事長は小雪と同じくらい意地悪く笑いながらいう。


「問題ない、異世界に通じる門がうちの学園にはある。君たちはただそこを潜り、異世界で魔法や剣や国作り関連の授業を受け、異世界で生活してもらう。国作りが終わり次第、君達ははれてその異世界の住民となるのだよ」


 高らかに笑う理事長に多少腹が立ったが、それはそれで楽しそうだと小雪は思った。


「理事長先生も異世界に来るわけ?」


「いや、行かんよ?なんでそうおもうんだい?」


「子供だけで国を作るのはむずかしいんじゃない?怪我でもしたらどうすんの?」


 小雪が首をかしげながらゲスの顔をしている。


 愛らしい顔でゲスな顔をするので、他の生徒たちは内心「悪魔だ」と思ったらしい。


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