第21話 おはちゅん
んーっ。結構寝れたな。スマホを見ると画面には8時と表示されている。6時に母さんたちを見送ったから2時間寝れたことになる。8時と表示された画面を見ても全く焦らなくていい休日の朝は最高だな。ずっとこうであって欲しいくらいだ。
「んにゅ〜」
ふと横を見ると紗耶さんが幸せそうな顔をして寝ている。現実で「んにゅ〜」なんて寝言言う人いたんだと驚きだ。
いや、今そんなことを気にする場面ではない。もっとやばいことが起こっている! そう。紗耶さんのパジャマが肌蹴ていかがわしい感じになっているのだ。
その姿に目を奪われてしまう。目線が釘付けになってしまう。
くびれたウエストとかキャミソールの紐が見えてしまっている。寝起きも相まって無防備すぎる。自分の息子がこんにちはしそうになって慌ててなんとか目を逸らす。
危ないところだった。こんなところ見られたらとんだ変態エロ野郎だと思われてしまう。
大きく息を吸って吐く。深呼吸を何回かして心を落ち着かせる。ついでに数学の公式を頭で流す。よしよし落ち着いてきた。
「ふぅ危ない。あと一歩でやばくなるところだった」
「何がやばくなるところだったの?」
ぱっちり目を開いた紗耶さんが俺をじっと見つめていた。そしてその目と俺の目が合う。
「ど、どれくらい前からそうやってみてた……?」
「私がうにゅーって言った時から」
「最初からじゃないか! ってかうにゅーって寝言は演技だったんだ」
女の子は寝言であんな可愛いこと言うのかと思ったら演技だったのはショックだった。いや、そんなこと今はどうでも良い。
この状況をどうにかしないと。本当に変態だと誤解されてしまう。
「それでさ。何がやばくなるところだったの?」
ニヤニヤしながら聞いてくる。これ絶対わかってるやつだ。それもそうだろう。年頃の女の子だこういう男の現象とかも分かっているはず。
「教えて欲しいな。もっともっと真夏くんのこと知りたいから」
分かっていて俺のことを追い詰めてくる紗耶さん。俺のことを知りたいって言われても言えるわけがない。だって男の欲望をあなたに感じてしまいましたなんて言えるわけがない。
「ほ、本当になんでもないから! ただトイレに行きたくなっただけ!」
それっぽい理由を言いながら逃げるようにベッドから降りる。夏で暑いのが不快なことが多いが、紗耶さんの温もりから離れた寂しさをほんの少しだけ感じてしまった。
「ちぇっ。真夏くんの意気地なし」
ドアを閉める時に部屋からそんな声が聞こえてきたが気にしないことにした。
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