第17話 どうなの?

「お疲れ真夏」


「あぁお疲れい。また明日な」


 駐輪場で大翔と別れる。いつもなら途中まで道が同じなので一緒に帰るのだが、今日は塾に行かないといけないらしい。


 俺も新しく追加された紗耶さんのアカウントを開いて今から帰るよとメッセージを送る。


 するとすぐに既読になり「待ってるね!」のコメントと可愛らしいキャラのスタンプが返信されて来た。


 あぁ。これ良いな。っていかんいかん。紗耶さんとはこれからどうなるか分からないんだし、この生活を当然と思ってはいけない。



 でも少しくらい心が浮かれても許してくれるよね?




「ただいま」


「おかえりなさい真夏くんっ!」


 昨日と同じように紗耶さんがお出迎えしてくれた。しかし、三つ指をついて自己紹介はしない。


 ただ俺が帰ってきたことが本当に嬉しいと言わんばかりの笑顔。まるで新婚さんみたいだ。


「待ってたんだよ? なかなか帰るねってメッセージこないから心配したんだから」


「心配ってまだ6時になったばかりだぞ」


 俺が帰る頃にはまだ部活をしている生徒も多くいた。陽だって全然落ちてないし、俺も男子高校生だ。この時間に出歩いてもそこまで危険ではないだろう。


「たしかに大丈夫かも知れないけど心配なのは心配なの!」


 紗耶さんは俺のオカンかと言いたくなってしまう。過保護すぎじゃないかい?


「まぁちゃんと帰ってきてくれたから今日は良しとします。さ、手を洗ったらお部屋いこっ」


 そう言うとスタスタと二階の多分俺の部屋へと向かった紗耶さん。俺も軽くため息を吐きながら手を洗って部屋に行くことにした。



「さぁさぁおまちかね勉強の時間だよ!」


 俺が扉を開けるとそこには勉強道具を広げた紗耶さんが。家に帰ってすぐ勉強ってなんだか嫌だなぁ。


 俺は晩御飯食べてひと段落したら勉強してたから、この時間はゆっくりしたい。


「もうっ! 嫌そうな顔しないの。今、前の中間の躓きやすそうなところとか考えてちゃんと問題探してたんだから」


「わざわざそこまでしてくれてたんだ」


 そして俺は一つ気になることをようやく口にした。


「あ、あの……紗耶さんってさ……お、俺のこと好きなの……?」


 この一日で「俺のこと好きなのでは?」と思わせることはあった。このストレートな質問。もしかしたら3分後、俺は紗耶さんと楽しく話していることはないかも知れない。


 それでも俺は知りたかった。

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