第9話 すりすり
晩ご飯をなんとか済ませた俺は風呂にも入って自室にいた。紗耶さんが突撃してくるんじゃないかと注意していたがそんなことはなかった。別に突撃して欲しかったわけではない。絶対にだ。
パソコンを起動しあるページを開く。それは証券会社の俺の口座画面。
そこには保有証券とあり藤本イートの名前だけが表示されている。つまり俺が藤本イート以外の株を持っていないということだ。
まぁ高校生の財力で買えるものといえばたかが知れてるしな。そして画面には保有株数100と表示されている。
株の売買は100株単位で行われる。そのため1株1000円会社の株を買う場合100倍の10万円が必要だ。
高校生の俺にポンとそれだけのお金を用意することは出来ない。そこで俺が利用したのは単元未満株。
一株から買える制度だ。自分の好きなタイミングで売買できない、株主優待は100株単位でもらえる会社が多いなどの理由で投資家が利用することはまずない。
ただ俺にはぴったりのプラン。コツコツと積み立てて今年の2月、ついに100株に到達したのだ。
あの時は嬉しかったなぁ。一つの目標を達成した快感というか画面には表示される100株に興奮を覚えたよ。
「なーにみてるの?」
「うわぁっ!」
俺とほっぺとほっぺがくっつきそうになるくらいのところに紗耶さんがいた。心臓が止まるかと思った。
あ、お風呂上がりだからかな、すごい良い匂いがする。って変態か俺は!
「き、急に入って横にこないでよ! それに近いよ」
「んー。いいじゃない。ほっぺすりすりする? こんなに近いんだし」
少し差し出せばくっつくだろう。くっつけたらどんな感じなんだろう。紗耶さんのほっぺすごいもちもちして気持ち良さそうだ。
「あ、真夏くん今日の株の情報でも調べてるの?」
背中の方から抱きつくようにしている紗耶さん。そんな女子高生が発するような言葉ではない発言が聞こえたぞ。
さすが社長令嬢といったところなんだろうか。普通の高校生だと知らないだろうけど、やっぱりお父さんから経営についてある程度学んでるのかな。
「私は真夏くんを将来支えることができるようにいろいろ勉強してますから。あれ? ほっぺた赤いよ?」
「気にしないでいいから。それで紗耶さんはなんで俺の部屋に来たの?」
「そんなこと決まってるでしょ。私もここで寝るんだもん」
俺がいくらチキンで童貞だからって男女が同じ部屋で寝るのはいかがなものだろうか。
俺の理性が試される夜が来るようだ。
読んでいただきありがとうございます。なんとなんとフォロワー様700名、★200突破! さらに週間ランキング14位! もう嬉しいを通り越して昇天ですね笑 皆さまには感謝しかありません。ありがとうございます。これからも言い続けます笑笑
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます