第5話 思い、違い

ついた、女性の部屋は一軒家で、村の外れにあった。

「お邪魔します」

「どうぞ」

部屋の中は綺麗で、家具の趣味もよく、住み心地の良さそうな印象を受ける。

「ここに座ってください」

言われた通りに、椅子に座る。

「飲み物は…、飲めないですよね」

「はい」

女性はポットから、1人分のお茶をカップに注ぎ、テーブルに置く。


テーブルを挟み、女性と向かい合う。

「あの、先程は助けていただきありがとうございます。あなたは命の恩人です」

「恩人ではないので」

「ふふふっ、その見た目で、しゃべって、考えられるのに?」

私は人ではない。

でも、彼女が言うように、私は人にできることがほとんど出来る。

「人と私の違いってなんだと思います?」

「さぁ、わかりません。でも、その違いをみつけたところでどうするのですか」

「私はつくられた意味を探すのです。だから、それをみつけるのも意味があると思うんです」

「私は、違いばかりを探すのではなく、同じところをみつけて、私とあなたはこんなにも同じだね。と生きたいんです!」

彼女の顔には、過去にあった何かについて語っている。悲しいことがきっとあったのだ。

「それは、あなたが生きる意味ですね。私もそれを見つけたい」


「では、私もその旅についていっていいですか」

強い目で見つめてくる。

「どうして?」

「今の生きる意味は、小さい世界しか見ていない私が考えたものです。間違っている可能性もあります。それとあなたは私の恩人で、私はあなたのことが好きになりました」

私に断る権利なんてありませんし、彼女といるとつくられた意味が、なんだか早くみつかる気がします。

「わかりました。一緒に旅に出ましょう」


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