(三)-8

 もう一発、白沢は郡元に向けて発砲した。今度はのど元に当たり、郡元は後ろに倒れた。その際郡元は引き金を引いた。幸い弾はアスファルトに当たり跳弾してどこかへ飛んでいった。

「優治!」

 白沢は入野に駆け寄った。肺を撃たれたらしい。口から血を流していた。

「白沢……、妹と組を頼む……」

 それは入野の妹、美優のことだった。不治の難病で八年前から入院していた。しかし、組とは……?

「俺は……尾襖おぶすま会の頭だ……。その男が俺のことをそう呼んだだろ。そいつは組の者だ……」


(続く)

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