(三)

 発砲事件が起きてから四日経った。捜査は何も進展していない。抗争が本格化するかもしれないという捜査本部の見解はアテが外れたらしい。県警本部と県警の公安部にも照会したが、目立った動きはないようだった。

「どちらにせよ、俺たちがパトロールしていれば、北方組も軽率に動けないだろう」

 そう言う入野ほど白沢は楽観的にはなれなかった。もちろんこのまま何もないのが一番いい。

 しかし、黒いミニバンの尾行は相変わらず続いていたのが気になった。白沢も入野も気づいてはいるが、声に出して指摘はしなかった。


(続く)

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