(二)-16

 入野は明かりを付けた。廊下部分からダイニングキッチンを通り、リビングへ通された。部屋を通るたびに、入野が明かりを付けた。

「奥さん、いないのか」

 白沢は部屋を見回しながら言った。

「昼にはいると思うんだが……」

 入野はリビングのテーブルの上に置いた白いビニール袋の中の総菜と缶ビールなどを取り出しながら答えた。

「どこへ行っているか、わからないのか」

 白沢は缶ビールを二缶取りだし、片方を入野に渡しながら尋ねてみた。

「ああ。教えてくれなくてな」

「そうか、残念だったなあ。かわいらしい人みたいだったから、一目お会いしたかったのになぁ」

麗美れみにはそう伝えておくよ」

 そう言うと、二人は缶ビールのプルタブを押し上げてから乾杯した。


(続く)

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