第57話

 蛇が、うねる。

 そんな場所を触るのは、ちょっと。

 まず、模様のない首に触れて。

 悪霊退散!

 と!思いながら。

 目をつぶる。

 暫らくそのままでいて、目を開くが。

 変化がない。


 やはり、模様に触らないとだめか?

 深呼吸して、いざ触ろうとすると。


 「王妃の背中を見る事も、触る事も、本来あってはならない事!治せないなら、打首にしましょう」


 そうララ姫が、国王に進言するが。

 国王は、何も言わず見守っている。

 不安だ!

 でも自分を、信じないと。

 蛇の模様の、頭部分にふれ。

 消えろ!

 と念じる!

 何かが、手から入って来ようとする感じがした。

 俺に乗り移る?

 焦る気持ちを、落ち着かせる為。

 一瞬顔を、上げた時。

 たまたまだし、見間違えかもしれないけど。


 第1王子が、どす黒い笑いをしていたように感じた。

 やっぱり、何か企んでいたか?

 これは、やばいやつだろ!

 王妃の背中から、模様が俺に移ってくる!

 入って来ようとする物を、押し出すのでは無く!

 消し去るイメージで。

 「治療!」

 と念じる。

 思った以上に、大きい声が出て。

 皆、ビックリしたが。

 次の瞬間。


 俺の、腕に移った蛇の頭部分が消え去っていた!


 すると、王妃の背中の模様も。

 消えて行き。

 キレイな背中になった。


 第1王子が気になり、見ると。

 驚いていた!

 治った事に?

 俺が、無事な事に?

 判断は、難しいが。

 他と違うのは、俺を見ていた事。

 すぐに王妃に目を向けたが、今回の事はコイツが原因で間違い無いだろう!

 そう思った。


 国王は、王妃に声を掛けている。

 サリーは、空気を読み。

 俺を部屋の外に連れ出す。

 リリ姫とララ姫は、中に残り。

 王子2人は、出て来た。


 「偶然に、救われたな!アレは、1年前に付けられた呪いだ!この国に、治せる者はいなかった。いや、お前が付けた可能性もあるか?」


 「母を、治してくださり。ありがとうございました」


 第1王子は、感謝の言葉と共に居なくなった。

 第2王子は、俺のそばにいて。

 どうしても俺を、悪者にしたいらしい。


 暫くして、王妃とメイド以外が出て来た。


 「ソウダイよ。感謝する。無理だと、諦めていたが。少しでも可能性があるならと。頼んでよかった。サリーの言う通りだな」


 サリー?サリー殿でなくて?

 国王とサリーは、繋がっている!

 これは、間違い無いだろう。

 リリ姫は、嬉しそうだが。

 ララ姫は、俺を睨んでいる。

 よっぽど俺が憎いのか。

 王妃の呪いの関係者か。


 あ~段々、メンドクサクなって来た。

 帰りたい。


 先ほど、謁見した場所に戻る。

 第1王子は、いない。

 計画失敗で、次の手でも考えているのだろうか?

 良くわからない。


 「ソウダイは、見事。我妻の病を治し。聖女にも、治せなかった病を!治療したソウダイを。クレナイ王国は、聖男として認める事にする」


 「ハハァ」


 え~!

 セイナンって、なんかヤダ。

 俺の、2つ名は。

 セイナン!

 意味わからん!(笑)


 「国王として、命ずる。ソウダイを、治療部隊長に命ずる」


 「ハハァ」


 これで、後方支援決定かな?

 安全に、戦争を気に抜けられそうかな?


 「王妃の、治療の褒美として。ララ姫及びリリ姫を、下賜する」


 あ~やっぱそうなる?

 そこは、無理なんだよな〜。


 「国王様、申し上げにくいのですが。私には、勿体無いですし。本人の意思も、大事に御座います。それに、私はトーマスに領を任せ。旅に出たいと思っております。過酷な旅に、姫を連れて行く事は出来ません」


 「ほう。ならば、ララ姫。そなたは、ソウダイをどう思っておる?」


 「国王様。私には、勿体無いお人。辞退したいと思います」


 その言葉に、国王の顔が険しい物になる。

 ララ姫も、気づいたのか震えている。


 「リリ姫は、どうじゃ?」


 「私は、もし許して頂けるなら。ソウダイ様のお側に」


 顔を赤くして、言うリリ姫は可愛く見えるが。

 まだ若い。

 手を出す気はない。


 国王は、リリ姫の言葉に。

 笑顔になり。


 「そうか、ならばリリ姫と。白金貨1,000枚を、恩賞とする!これは、決定である!良いなソウダイ!」


 「ハハァ」


 あ~あ。

 妻なんて、まだ早い!

 遊びたい(笑)

 異世界に来たからには、ハーレム目指すのも良いけど。

 幼女は、ちょっと。


 そんな事を考えていると、サリーに引っ張られた。

 どうやら、謁見は終わり。

 国王は、早く妻の元に行きたいみたいだ。


 部屋から出ると、お年寄りがいた。


 「ソウダイ殿かな?私は、モリスと言う老兵に御座います。王妃の、治療でお疲れでなければ。治療して頂きたい、兵達がいるのですがよろしいですかな?」


 小声で、サリーが何か言おうとして。

 モリスは、それを遮り。


 「サリー様。ソウダイ殿は、お任せ下さい。あちらにて、サリー様を探しているご様子でしたよ」


 指差す方を見ると、メイドが走って来るのが見える。

 嘘では、無いようだ。


 サリーは、何か言いたそうだったが。

 一刻も早く、来て下さい。

 と言う、メイドに引っ張られるように連れて行かれた。


 「モリス様。私は、治療したあと。今まで、疲れた事がありません。なので、倒れるまで頑張りますよ!」


 自分の、限界を知りたいのと。

 怪我人がいるなら、治療してあげたいと思い。

 そう伝えると。

 モリスさんは、嬉しそうに。


 「それは、頼もしいですな。出来れば、様を付けずに。モリスと、お呼びください」


 「では、モリスさんと呼ばせて頂きます。どちらになりますか?」


 俺が、乗り気な事に。

 何故か、頷いている。

 不思議に思っていると。


 「では、参りましょうか?」


 と、付いてくるよう言われ。

 ゆっくりと、歩く。


 「モリスさん。もしかして、怪我してませんか?」


 「いえいえ。ただ、もういい歳ですので。歩くのが遅くて、申し訳無い」


 「そうですか?少し肩に触れてもいいですか?」


 構わないと言うので、歩きながら肩に触れ治れ!と願う。

 が、モリスさんから反応が無いので。

 どうやら、勘違いらしい。


 そのまま、王城から出て。

 近くの、3階建ての建物に入ると。

 受付がいて。

 「お見舞いですか?何処か怪我を、されましたか?」


 と聞かれた。

 どうやら、病院?のようだ。


 モリスさんが、話をしてくれて。

 3階に上がる。

 すれ違う人は、モリスさんに頭を下げているので。

 偉い人、なのかも知れない。

 頭を下げているのは、男性ばかりで。

 女性は、普通だ。

 そこに、少し違和感を感じるが。

 聞いたりは、しなかった。


 そして、3階につくと。


 意外な人達がいた。

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