第48話

 食事をしながら、シーリャルからの報告を聞く。

 カハル領では、冒険者が多く。

 兵士達は、鍛錬に毎日励んでいて。

 優秀なのだとか。

 奴隷を、連れている人が多く。

 太った、貴族?

 も、多いようだ。

 ただ、領のハズレにスラムがあり。

 荒れ放題なんだとか。


 領主の館に、潜入した。

 ミーパの話だと。

 第2王子からの連絡で。

 協力要請が、来ているらしい。

 王様や、第1王子からの要求に応じず。

 自分の、部下として参戦するよう手紙にしるされていた。


 それを見て、仲間うちで作戦会議を連日行っていて。

 昨日、決まった話だと。

 第2王子についても、先が無いと判断し。

 第1王子に、付くようだ。


 5日前に、ハートに頼んだ書類は。

 無事、王様の元に届き。

 結果は、サリーの言う通りで。

 第1王子側に付かないと、粛清されるそうだ。

 その為もあり。

 第1王子からの要請を受け。

 王都に、行く事が決定したそうだ。


 そのうち、こちらにも。

 要請が、来るのだろう。


 第2王子から第1王子に、変えるなら。

 こちらに嫌がらせは、今後来ないかもしれない。

 でも、わならないから。

 対抗出来るように、ヤマトとトーマスに頼んだ。


 翌朝。

 サリーが奴隷達を、連れて帰ってきた。


 「御主人様。ただいま帰りました。子供達30人。大人20人。獣種族が、多くなりましたが。注文通りだと思います」


 屋敷の前で、怪我人達を治していく。

 子供は、怪我より栄養が足らないようだ。

 大人は、男性12名。

 女性は、8名。

 皆、怪我していた。


 片腕が無いもの。

 目に包帯を巻いてる者。

 刀傷が、ある者など。

 様々だが、すぐに治す。

 痛々しくて。

 ヤマトを呼び。

 食事、服等の手配を頼む。


 「サリーありがとう。お金は、足りた?」


 「ちゃんと足らせました。が、家が出来ていないようですが?サボっていたのですか?私達を、働かせて。いい身分ですね」


 なんか、怖い。

 俺が、主人なのに(笑)


 「立ち退きを、求めていたけど。昨日解決して。今日中に何とかします。サリー様は、ゆっくりとお休み下さい」


 「そうさせて、貰いますね」


 あれ?行っちゃった。

 そんなに、疲れたのかな?

 後で、マッサージでもしてあげようかな?

 結構、評判いいし。


 まぁ、ふざけてる場合じゃないな!

 「シーリャル。ミーパ。手伝ってくれる?」


 「お任せください」

 「お手伝いしゅるでしゅ」


 立て壊しは、後回しにして。

 正面の広場を残し。

 左側に、住まいを建てることにする。

 俺は、木材を集める為。

 外に。

 シーリャルには、整地するよう頼む。

 ミーパには、空間魔法で荷物持ちを頼む。


 領から出て、すぐの森で。

 木を、風魔法で切り倒す。

 豪風魔法で。

 1度に、20本位。

 3回目辺りで、お客が。


 現れたのは、ピーチパーティーの3人。


 俺は、依頼をしていた。

 それは、魔族。

 小人種族を集めてほしいと、頼んでいた。

 ドワーフ、見てみたいし。

 この領を、もり立てて行くなら。

 協力要請しようと、思ったからだ。

 だが、付いてから1度も見る事が無かったので。

 捜索してもらっていた。


 「旦那、集めたぜ!総勢15名」


 「さすが!ピーチパーティー!感謝する。それで、ヒゲモジャさんはどこに?」


 「今は、シーリャルさんの所にいるけど。気難しいから、気をつけなよ。3日前に見つけたけど。説得に、時間がかかっちまった」


 これは、ドワーフ特有の。

 気に入った人間にしか、武器など作らん。

 見たいな?

 楽しみになって来た!


 木も集まったし。

 シーリャルの、元に戻る。


 すると、何やら楽しげな声が。

 「ジョーチャンは、すげーな!身のこなしも、作業も。男、顔負けだぜ」


 あれが、ドワーフ?

 確かに、身長150位。

 ヒゲモジャで、すでに飲んでるっぽい。


 でも、小人族なんだよな?

 初めての、魔族との接触!

 気を引き締めないと。


 「こんにちは、新しく領主になった。ソウダイ・ヒーロと言います。どうぞ、宜しくお願い致します」

 と、頭を下げる。


 「ふん。異世界人の領主かい。気に入らん。今は、ジョーチャンと話してる。邪魔するな!」


 あー。

 嫌われちまったか?

 シーリャルも、困ってるが。

 少し、様子を見よう。

 その間に、ミーパに木を出してもらう。


 「おい、そっちのジョーチャンは。空間魔法持ちかい?スゲーな!もっと見せてくれ」


 近づく、小人族に驚いて。

 俺の後ろに、隠れてしまう。

 が、気にせず近づき。

 頭を撫でる。


 それは、許せない!

 暴力はまずい。

 ミーパを抱え、離れる。


 「何度も言わすな!異世界人の領主は、スカン!どっかに行け!その娘は、置いて行け」


 楽しみにしてたのに!

 それに、力も借りたかったが。

 これじゃあ無理だ。


 「領主として、この領の為。力を借りたいのですが、いかがでしょうか?」


 「何を、やらせるつもりじゃ!異世界人は、ワガママで。自分勝手なやからじゃからな!ろくでもない、事であろう」


 「すみません。私は、この場に3階建てか、4階建ての。住まいを、建築し。奴隷となった人達。子供達を家族として、住んでもらおうと考えています。反対側には、兵舎の建設。中央は、広場として活用しようと思うのですが。その協力を、お願いしたいのです」


 「ほお。その話本当か?」


 食いついたか?


 「今回建設する建物は、この領の為になる。そう考えています。子供達や、傷付いた方に、食事や、治療をして。この領の為に、働いて頂けたらと」


 「治療?お前そんな事出来るのか?聖女は、女性と聞いたが?」


 「出来ます。先程もしたばかりです」


 失敗した?嫌。

 怪我人を残しておくなど、考えられない。

 さて、どう証明するか?


 「ならば。おいカルバン」


 「なんじゃい。わしは、今このジョーチャンにだな」


 と、片目を包帯でまいた。

 ヒゲモジャが、近付いて来た。


 「こいつが、治療出来ると言うのでな。見てもらえ」

 「馬鹿じゃろ。無理に決まっておる。目を復活させるなど。聖女でもない限りな」


 「治します。ただ、治療の為。触れても宜しいですか?」


 「ふん。勝手にせい」


 近づき。

 包帯を取ると、抉れている。

 吐きそうに、なるのを堪えて。

 抉れた、左眼と左耳辺りに触れる。

 治療魔法を、使ってみるが。

 上手く作用しない。


 「ほれみい。人族とは、違い。魔族は、魔法に体制があるから無理じゃろ。こないだ。雷魔法を受けても、ピリッとしただけじゃしな」

 と、笑いだした。


 え?そうなの?

 全然魔法が、効かないわけではないようだし。


 目を閉じ。

 治れ!

 俺なら、治せる!


 一分程立つと。

 驚いた声が、聞こえ。

 目を開けると。


 治っていた。

 なんだ。

 悪魔も、治療出来るじゃないか!


 そう思っていると、治した小人族に。

 抱きつかれた。


 嬉しくない…

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