第41話

 手前から、順番に回る。

 一番酷いのが、ここにいる6名だからだった。

 床に、うずくまっていて生きてるかもわからない男性に近づき。

 手を触れ、治療と念ずると。

 ホントに、眩しい光がしてすぐに収まる。

 すると、治療された男性は。

 「痛みがない」

 と言いながら立ち上がり体を確認しだす。

 「あんたが、治してくれたのか?ありがとう」

 と言って泣き出す。

 良かった〜!

 出来なかったら、どうしようかと思った。

 次は、片腕がなく。目に包帯を巻いている男性。

 同じ事を、繰り返すと。

 光の後、手が生えた!

 ユカリとは、違って生えたように見えた!

 包帯を、取ってあげると。

 「え?見える!見えるぞー」

 と、叫びながら小躍りする。

 これだけ動ければ大丈夫だな(笑)

 これなら!生きていれば、治せる!治療できる!

 と、次々と、治していく。


 念じれば、手が生える。

 目が見える。

 これぞ、異世界でしょ!

 良かった。やって良かった。

 獣種族達も、感謝してくれた。

 子供達は、治そうと思うが怖がって近づいても離れてしまう。

 無理矢理は、精神的に無理!

 と思い。

 悩んでいると。

 隣の牢屋の、男性と。

 反対側の女性達が、大丈夫だから。

 と、安心させてくれる。

 それでも、不安なのか震えている。

 モーヒガが、生きていれば殴り飛ばしているだろう。

 何とか、触ることができ。

 治療する。

 クーエが、手伝ってくれたお陰で何とか子供達も治療出来た。

 ただ、子供達にも神様なの?

 と言われたので。

 全否定する。

 あんな、バカ猫と一緒にされるのは嫌だったから!

 女性達は、何故か裸の状態で包帯を巻いている。

 ただ、ここも酷いもので。

 耳がない者。

 指がない者。

 目を背けたくなる。

 それでも、1人ずつ治していく。

 感謝のあまり抱きつかれた時は、鼻の下を伸ばしていたらしく。

 クーエに、お尻をつねられた(笑)

 獣種族の女性達は目が死んでいて、近づいても反応しない。

 治療は、したのだが。

 精神的な事には、対応してないらしく…

 悔しいが、あとはヤマトに任せて皆の元に戻る。


 すると、他にもお願いしたいのです。

 と言うのでここは先程の、メイドとクーエに任せ。

 クーエは、子供達と笑い合っていたので任せた。

 移動する。

 牢屋は地下にあったが、今度は2階に上がる。

 1つの部屋に、15人の男女がいた。

 見た目。

 怪我してなさそうな人。

 包帯を巻いているもの。

 ベッドに1人だけ寝ていた。

 すぐに、治療していく。

 包帯もして無いし、軽症?

 と思いきや、服を脱ぐと大きな火傷の痕がある者。

 おしりの肉が、削れてる者。

 足の指が無い者。

 俺にとって、軽症と呼べる者はいなかった。

 治すと。

 皆、泣き出し喜んでいる。

 ホントに、治療スキルが使えるようになって良かった。

 最後に、ベッドに横たわる者は。

 布団を剥ぐと、手足がない。

 根本を包帯で巻いていて、生きてるのも不思議な程だ。


 唖然とする。

 怒りが、こみ上げてくる。

 それも、小さい子供だ。

 耳も長い?エルフ?

 わからないが、見ていてもしょうが無いし。

 治療に、移る。


 何回目か、わからない。

 手足が、生えてくる状態を目にするが不思議な感じだ。


 タオルを借りて、血を拭う。

 俺がやってもよく取れないので、他の女性に任せようとすると。

 俺の顔を、拭いてくれた。

 俺は、知らずに泣いていたようだ。


 目が冷ます前に、ヤマトと部屋を出る。

 治療した人達から、何度も感謝されながら。

 ヤマトに

 「この屋敷の住人は、これで全部か?」

 「はい。以上となります。本当にありがとうございます」

 「ヤマトも、治療しよう!」

 ヤマトは、目を見開いた。

 「どうして、わかったのですか?」

 「今わかった。どこを怪我している?」

 怪我しているようには、全く見えなかったが。

 ヤマトだけ、怪我して無いのはおかしい。

 かまを、掛けただけであった。


 すると、2階の別の部屋に。

 執事服を脱ぎ、上半身裸になる。

 傷だらけで、よく我慢していたものだ。

 何となく、下半身は見せないだけで。

 怪我しているんだろうと思い。

 全身を、治療するイメージで治療する。

 終わると、ヤマトは。

 「全身治っています。ありがとうございます。御主人様?」

 「まだ、事情を聞いてなかったんだな。皆の所に戻ろう」


 戻る最中。

 あれだけ、強力な魔法を連発してるのに。

 疲れが出ないのは、MPが高いせいなのだろうか?

 前から思っていたけど。

 俺って、チートかな?


 戻ると、ピーチパーティーも来ていた。

 「トーマス。ヤマトに説明を」

 「わかりました。ソウダイ様」

 説明を、任せて。

 シーリャルと、ピーチパーティーを連れ領内を探索する事に。


 「主殿。壊れている建物が多いが、直さないのだろうか?」

 「そうだな。あそこに酒場があるから聞いてみようか?」

 シーリャルの言う通り、壁に穴が開いてる建物もちらほら。

 建物は、治療出来ないしな(笑)

 そんな事を、思いながら店の中へ


 すると、かなり感じがやばい気配?

 シーリャルはともかく。

 ピーチパーティーは、連れてくるべきじゃなかったかな?

 トーマスさんを奴隷にした事が、バレたのかな?


 とりあえず開いてるテーブルに座る。

 そこでも、シーリャルが後ろに立とうとするので。

 座るように、言おうとしたが。


 「おい!そこは俺の席だ!サッサッとどけ!」

 これは!テンプレ?でも、ハーレムに見えて。ハーレムじゃないんだけどな(笑)


 「女共は、そのままで良いぞ!」

 気づけば、店にいた男達が取り囲んでいた。

 「あんたら、ここの住人か?仕事は、休みなのか?」

 「これが、俺らの仕事さ。領内を、荒らしそうな奴らを見つけ排除する。女は、頂く。モーヒガ様の配下の俺達の仕事。邪魔するなら…ブフォ」

 今の俺に近づいて、そんな事を俺に言うから殴ってしまった。

 モーヒガの、部下でこんな事してるなら構わないよな!

 「何しやがる!」

 「うるせー!モーヒガは、死んだ。自殺だ!王都から連絡が来てないのか?今この領地にはトーマスさんが来ている。ここに、お前らの居場所はねぇ!」

 八つ当たりなのは、わかっていたが止められない。

 「何を、言ってやがる!そんな話聞いてね!こんな奴、やっちまえ!」

 シーリャル達に、手を出すな!

 と言いつけ。

 1人を殴りながら、表に出る。

 シーリャル達も出て来て。

 10数人から囲まれる。

 怒りに我を忘れ暴れまくる!

 とは言え、一発で倒れてしまう為。

 すぐに終わってしまう。


 「主殿。何かあったのか?」

 「悪い。憂さ晴らしのような物だ。少し酒でも飲んで、気晴らしがしたかったが」

 と言って周りを見渡すと。

 人が集まってきた。

 「クズモーヒガの配下共!今すぐ、この領から出て行け!さもないと殺す!」


 倒れた奴らは、慌てて逃げ出した。

 覚えていろ!とか後で、後悔するぞ。とか言っていたがほうておく。


 すると、周りから歓声が!

 結果。

 良かったのかもしれない。


 俺の気が晴れた訳では無いが。

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