第32話 誰だ、お前
日も落ち始めてきた頃、こちらの仕事も終わった。明日は…あ、土曜、休みじゃん。…俺今日来てなかったら三連休だったのな。
「あー疲れた…」
さり気にもう冬になるのか、最近冷え込んできたなとは思ったけど。冬…クリスマス…か。
…幸牙と、デート…したいな…。
「永太」
「っひゃあ!」
不意に肩を触られ、後ろを振り向くと、幸牙がいた。びっくりさせんなよもう…。
「こ、幸牙かぁ…」
「仕事終わったし、帰ろうぜ」
「う、うん」
「ど、どうした?顔赤いけど」
「いや、なんでもない…」
「お、おう」
◆
夜の街を猫と犬が歩く。ご自慢の毛並みを靡かせて…。…なんてね、少しロマンチックに言ってみちゃった。まぁあれだけお似合いの二人がいたらそんな風に言いたくなるもん。
にしても、さっきからずっと後を追ってるんだけど、あの二人中々僕に気付かないな…。案外鈍感なのかな。いや、そもそも街中にこんだけ人が密集していれば気付く方がおかしいか。
まぁ暫くは着いて言ってみよう、面白そうだしね。
◆
「なぁ、永太…」
「どうしたの?」
「さ、さっきから…後ろに気配感じない?」
「え、そう?」
「気、気のせいかもしんないけどさ…」
幸牙が何かに気付いたらしい。でも俺にはよく分からん…俺鈍感だからな…。
「…少しそこの道入ろう、良い考えがある」
「え、うん…」
俺は幸牙に連れられるまま一通りのない道へと入る。うわ、落書きだらけじゃん…怖い。
◆
あら、変な道に入っていった、なんだココ、落書きだらけじゃん。…あれ、あの二人消えたぞ?どこ隠れたし、というか流石に気付かれたか。もっと自然な形で近づけば良かったかな…。
その時、後ろから声をかけられた。
「お前か、さっきから俺達を付け回してたの」
振り返ると、あの犬と猫がいた。猫の方は犬の腕を掴んで後ろから見ている。やれやれ、そこまで威圧されるとな…。
「あー流石にバレた?」
「…お前、永太に手ぇ出したら分かってるよな」
犬の方が牙を少し出した。そんなに睨みつけられると怖いなぁ。
「大丈夫、手は出す気ないよ」
「…何で付け回してたの?」
後ろから猫が問いかけてきた。うーん、正直本音は言えないよなぁ。と言っても『見守りに来た』だけなんだけどさ。
「なんかさ、お似合いのお二人だったからさ、気になったから追いかけてみた」
「ッ…!」
僕がそう言ったら、犬の方が驚いた顔をして、後ろに一歩下がった。猫の方は口元を抑えて顔を赤くしている。
…あー良かった、二人とも、本当にお互いのことが好きなんだろうな。
「あーごめん、この後用事あるからこの辺で」
「ま、待て、お前、誰なんだよ…」
「僕?僕は…」
「…犬介、
あとがき
大島犬介のプロフィール
名前:
性別:雄
種族:狼
年齢:18
身長:176cm
体重:58kg
誕生日:10月27日
性格:よく分かんない(by犬介)
筆者による紹介:零に続く謎系獣人二人目。でも実は凄い獣人…らしい。因みに狼なのに名前が「犬」介なのは犬介の親が犬介の種族を犬だと思っていたから。
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