第26話 俺たちの先輩
部長、遅くないか…?いつもこの時間にはもうとっくに来ているんだけど…。…昨日蒼哉くんと帰って行ったの見たけどそれが原因だろうか…。いや、部長の私情の事考えるのはやめよう。
「部長遅いねー」
「いつもこの時間には居るんですけどね…」
今俺が話しているのは、俺や幸牙の先輩、
「いっそボクが一日部長として仕事しようかな」
「ははは、多分部長に怒られますよ」
にしてもマジで部長遅いな…まだ時間に余裕はあるとはいえ、いつも居る時間に居ないとなると何だか不安になってくる。
「あ、そういえば横川くん」
「どうしました?」
「横川くんってさぁ…好きな人とか居ないの?」
先輩が少しニヤニヤしながら言ってくる。待て、俺にその質問は禁句ですよ先輩…。…言えない、いや、言えるわけがない。だって俺…ホモだし。あまり人にバレたくもなければそのせいで俺の事を変な目で見てくるかもしれない。
「い、いやー居ないですね」
「誤魔化し方下手くそじゃない?」
嘘でしょなんでバレるの、今誤魔化し方完璧じゃなかった?
「んで、本命は誰なのよ」
「あ、あんま言いたくないです…」
「あー分かった、男の人が好きとか」
あ…嘘…バレた…。え、マジで、こんなにいとも容易くバレるもんなの。俺が単純すぎるだけ…?まさか心を読めるのか…?スタンド使いか何かですか?この先輩怖くなってきた…。
「あっあっ、その」
「…その反応、図星ね」
「…はい」
「大丈夫だよー今同性愛者とか結構居るじゃない」
「いやでも…それでも少数ですから」
「ま、ボクもなんだけど」
「…え?」
え、どういうこと?ボクもって何、え?…まさか、先輩も…。いや、なわけ、きっと先輩が言い間違えただけだろう。
「ボクも女性の方が好きってこと」
「え、えぇ!?」
しまった、驚き過ぎて大きな声出してしまった…。周りに人いなくてよかった。これで人居たらたまったもんじゃないな。
「めっちゃ驚いてるけど貴方も同じだからね」
「い、いや、先輩もだったんだと驚いてしまって…」
「んーでもボクはちょっと特殊かもね」
「特殊…?」
「そ、ボクはそもそも自分を男として見ているからね。女の体で生まれちゃったけど」
あ、特殊ってそういうことか。確かに先輩は一人称を『ボク』にしている。癖なのかと思っていたけどそういうことだったのか。自分のことを男だと思っているから、男性が女性を好きになるのは当然だ。ただ体が女性だっただけということだろう。
「…因みに先輩の好きな人は」
「今は居ないよ、学生時代は居たけど」
「あ、そうなんですね」
「というか、他人に好きな人を尋ねる時はまず自分から言うのが常識じゃないかい?」
「うぅ…確かにそうだと思いますけど…」
「ま、予想はついてるけど」
「え、マジですか…」
「うん、幸牙くんでしょ」
バレた、いや、というかもうこの人俺のストーカーか何かじゃないの?あまりにも俺のことを知りすぎているというか…。怖くなってきた、マジで。
「はい、図星です…」
「もはや諦めの声ね」
「でも幸牙かっこいいじゃないですか。女性社員にも人気ありますし…」
「確かにイケメンだよねー。普通に幸牙くんアリかもしれない」
「幸牙は俺のものです渡しませんよ」
「顔怖いよー」
あとがき
高瀬奈真衣のプロフィール
名前:
性別:雌
種族:犬(柴犬)
年齢:27
身長:165cm
体重:秘密
誕生日:7月2日
性格:陽気
筆者による紹介:永太や幸牙、蒼哉達の先輩です。一人称はボク。学生時代に辛い恋愛をした為恋愛に対して臆病になっていますが、本人はそれを隠しているみたいです。
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