第20話 兄ちゃん

 永太は無事に家まで送り届けられたのだろうか…。そんなことを考えながら、朝の支度をする。と言っても今日は会社休みなんだけど。にしても、昨日は色々とあったな…。まさかあれの後始末を手伝うことになるとは…量も多かったから大変だったし…。


 でも俺、昨日見ちゃったんだよなぁ…。幸牙が、トイレで行為をしているのを…。俺が個室トイレに入っていた時、バタバタと足音が聞こえてきて、隣の個室に入ったかと思えば、聞こえてきたのは新井息遣いと小声の喘ぎ声だもんな…。俺はこっそりと上から覗いてみると、そこに居たのは一生懸命自分自身を扱いている幸牙だったという…。幸い、なのかは分からないが、夢中になっているせいか、俺の存在は全くバレていないっぽかった。


 暫くすると、今までで1番大きい声、と言っても、3人ほどの人数で会話している時くらいの声の大きさで、幸牙が、「ぁぁあ…ッ!」と、喘いだ後、ビチャ、と音を立てて、床に落ちたのが分かった。


 暫くした後、拭き終わったのか幸牙がトイレを出ていった。それでもなんだか、消化不良気味だったような気がする。何となくだけど。発情期とかなのかな…。ある人にはあると聞いたことがあるけど。俺は…そこまでない…はず。


 まぁ…永太の恋は応援したいから、そういう営みがあっても良いんじゃないかなと少し思ってしまった。


 にしてもこの後どうしよう。何も予定がないから暇だぞ。あ、やば。洗剤がもうほとんどない…。あとお酒もないや…買わないと…。ショッピングモールでも行きますか。


 俺は玄関の鍵を閉めて、車まで向かう。ちなみに車種は、スバル レガシィB4(BL型)。知らない人は調べて見てね。そんなこんなで俺はショッピングモールまで車を走らせた。



 ~約20分後~



 俺は車を駐車場に停め、目的のものを買っていた。取り敢えず本来の目的物は全て入手したため、もう帰ってもいいのだが、何となく他のところも見て回りたくてブラブラと歩いていた。そんな時、本屋があった。俺は何となくその店に入ってみた。中はとても静かで、客も何人かいた。壁一面に広がる本は、綺麗に整列されており、一体感のようなものがあった。


 そこで俺は、気になるジャンルの本棚を見つけた。それは、「ジェンダー」のジャンルだった。俺はそこに並べてある本の内、特に気になったタイトルの本を見つけた。「ゲイについて」というタイトルの本。俺は内容がどうしても気になったため、その本を手に取ろうとした。


 その時。


「「あっ」」


 何と俺の他にもう1人、その本を取ろうとしていた人が居たらしく、その人と手が当たってしまった。


「あ、す、すみません…」


「いえいえこちらこそ…って、あれ?」


 俺の目の前にいる人は、少し戸惑っているようなリアクションをした。どうしたんだろうと、俺も顔を上げてみると、俺は大きく動揺した。


「え、に、兄ちゃん!?」


「あ!やっぱり啓二か!」


 なんと俺は、実の兄と再会したのである。名前は、啓一けいいち虎島とらじま啓一けいいち。俺と3つ年の離れた兄だ。最後に会ったのは8年ほど前だろうか。俺が20歳の時だったような気がする。


「兄ちゃんが何でここに…?」


「いや~何となく気になってさ。良い本ないかな~みたいなノリで」


「それでゲイの本買うの…?」


「お前だって人のこと言えないだろう」


「兄ちゃんは相変わらずツッコミが的確だな…」


 俺たちはその再会した流れで、近くの喫茶店でお茶することになった。


 もしかしたら、兄ちゃんなら俺の相談にのってくれるかもしれない…。















 

あとがき

虎島啓一のプロフィール


名前:虎島とらじま啓一けいいち

性別:雄

種族:虎

年齢:31

身長:192cm

体重:90kg

誕生日:2月19日

性格:陽気


筆者による紹介:啓二のお兄さんです。彼もホモですが、他のみんなとは違う所があります。それは、啓一には彼氏が居るということ。彼氏はドーベルマン獣人なんだとか。実は啓二が言う恩師と言うのは啓一のことである。

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