第12話 寂しくないでしょ?
朝飯を食べ終えた俺達は、それぞれ別の行動をしていた。俺はスマホをいじり、蒼哉は荷造りをしていた。どうやら蒼哉は、午後から予定があるらしい。名残惜しいが、蒼哉の都合なので仕方が無い。
…蒼哉、帰っちゃうのかぁ…。一生ここに住んでいてくれないかな。一生俺と生活してくれないかな。そんな思いは、俺の心の中に消えていった。
「んじゃ、そろそろ行くよ」
荷物を纏めた蒼哉がそう言う。
「うん…」
俺は蒼哉が帰ってしまうことが寂しくて、情けない返事をしてしまった。
「もう、そんな声出さないでって」
「ご、ごめん」
「仕方ないなぁ…けいちゃん、ちょっとだけ屈んで」
そう言われたので、俺は言われた通りに屈んだ。
その時。
「んっ」
俺の唇が、蒼哉の唇に触れた。これって…まさか…。
「これで寂しくないでしょ?」
蒼哉が笑いながらそう言った。俺は耳まで赤くして、その場で固まってしまっていた。
「おーい、けいちゃん動けー」
「っ!あ、ごめん、いきなりだったから…」
「あはは、この前の仕返し」
これ仕返しだったんだ…。
「んじゃ、また会社で~」
そう言って、蒼哉はドアを開け、エレベーターの方へ消えてしまった。バタン、と音を立ててドアが閉まった。それと同時に、とてつもない虚無感が俺を襲った。
「蒼哉ぁ…」
俺は耳を垂れさげ、しばらくの間、下を向いていた。
俺は誰も居なくなったベッドの上で横になっていた。頭の中は蒼哉のことでいっぱいだった。でも何故だろう、蒼哉のことを考えるだけで、こんなにも興奮してしまうのは。とっくに俺は臨戦状態だ。さっきから波打っているのが分かる。
これ…1人でも出来るのかな…。
俺はそっと、ズボンに手をかけた。
「はぁ…」
行為を終わらせた俺は自室から出た。妄想とはいえ、蒼哉をあんなものに使ってしまったのは本当に蒼哉に悪い事をしたと思う。
蒼哉、また泊まりに来てくれるといいな…。その時…また…続きが出来たら…。
いや、そりゃないか…うん。
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