女の子になりたい

俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き

女の子になりたい

「男らしく。」


僕はその言葉が嫌いだ。


僕が髪の毛を伸ばしてるのを見て、大人たちは皆そう言うんだ。


「女っぽい。」


僕はその言葉が嫌いだ。


僕が女の子と話してるのを見て、男の子たちは皆そう言うんだ。


何がだめなんだろう。


髪の毛を肩まで伸ばすのは、悪いことじゃないでしょう。

女の子の話すメイクの話が気になるのは、おかしいことじゃないでしょう。


僕だって好きでやってるんじゃないんだよ。


小学校1年生の時、何気なく髪を伸ばそうと思った。

なんでかは覚えてないけど、本当に突然に思った。


元から長めだったから、肩につくまで伸びるのは時間がかからなかった。


はじめは皆『かわいい』とか『似合ってる』って褒めてくれたのに、高学年になった途端に皆して僕を遠ざけた。

周りから違うから。皆と違っているから。

それだけの理由で僕を異端と隔離して、まるで敵のようにしたんだ。


僕の髪の毛を結ってくれていたお母さんまで、僕を気持ち悪がった。

お父さんなんて、一家の恥とまで言った。


友達だったはずの皆のも無視されるし、大人たちはそんなふうに言うから僕は髪の毛をバッサリ切った。


背中の真ん中くらいまであって、お気に入りだった黒髪が床に舞った時。

僕はとてつもなく悲しかった。


でも、僕は辛かったけど、そうしたら皆は前みたいに僕に笑いかけてくれたんだ。

だから鏡を見て泣きたくなるのも、耳すら隠さない髪の毛を恨んでしまうのも、男の子らしくするのも我慢して、普通に生きたんだ。


でももうそれは、我慢しきれない。


僕は今、高校生になった。

周りの子達は髪が長かった僕を知らない子達ばかりだ。


それまで普通だった僕が、いきなり変わったら皆がどう思うかな。


褒めて、可愛いって笑ってくれるかな。

それとも、気持ち悪いと嘲笑うかな。


僕は怖いよ。すんごく怖いよ。

だけどね、このまま自分を押し殺して大人になってしまうことのほうが何十倍も、何百倍も怖いんだ。


だから、僕は自分に嘘はつかない。

したい格好をして、話したい人と話して、自分なりの口調で生きていくって決めたんだ。


本当に怖いし、辛いし、緊張するけど。

僕は皆に、こんな僕を認めてほしいんだ。


僕はそんな思いとともに、ドアを開いた。


どうかな、皆は…………笑ってくれるかな?

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