吸収の経験王~吸収は熟練度も吸収出来ます!!
KURO
第1話
「おい!! セル!!」 様々な人物が集まり、高揚とした空気を醸し出してるこの冒険者ギルドにピリピリとした怒鳴り声が強く響いた。
その声の発信元は、スキル「剣帝」を持つ
クロムだ。セルはクロムの言葉を深々と聞きながら、受け付け嬢の元へと向かう。
「すいません…… これ、依頼証明書です……」そう言って薬草を収めるセルを誰も助けようとはしなかった。ギルドの職員は口を挟めない。最弱と認められたスキル
『吸収』を持つセルは、ギルドに居るだけで、他の冒険者から疎まれ、蔑まれるそんな存在なのだ。
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セルSide
「はぁ、」そんなため息が俺の口からふと漏れる。なんでこんな事に…… 元を辿れば3年前、スキル制定の儀式だった。この世界に住む人々は必ず十歳になるとスキルをもらう。
その時貰ったスキルがこの後の生活に大きな影響を及ぼすのだが、俺が得たスキルは
『吸収』だった。相手の攻撃を吸収するだけのスキル。遥か昔は強いと言われていたスキルだったが、今は違う。吸収といっても限度があり無効化とは言えない。 だから『吸収』を持つ人は奴隷同然の扱いを受ける。
今日も俺は俺とは違い剣帝スキルを持つ
クロムに指導と言う名のイジメを受けながら、依頼をこなしていた。
ある日、俺はアースゴブリンの討伐の依頼をクロムと一緒に受けていた。まぁ、完全に荷物持ちなのだが……
アースゴブリンはc級魔物だ。本当だったら俺が参加出来ない討伐依頼に俺の心は密かに揺れ動いていた。 けど俺はその時忘れていた。いや、忘れてしまっていた。俺がスキル『吸収』を持っているって事を…… そしてスキル『吸収』を持つものがどんな阻害を受けているのかを…
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ゴブリンがいる巣に着いて俺はクロムに剣や防具を渡す。どんなにスキルを持っていても武器がないとそれを活用は出来ない。
そしてクロムがゴブリンの巣に入っていた時何か、いつもとは違う雰囲気を感じた。何か、危険な事が起きるような……
そして遂にその時はやって来てしまった。
「ゲジッ!! グヒヒ……」そんな醜い声でクロムの前に現れたのはゴブリンの中でも
亜種と呼ばれるゴブリンアースだった。
ゴブリンアースはB級魔物だ。冒険者ランクc級のクロムでも一人では倒せない。
どうすれば逃げ切れる? 俺がそう考えている時クロムは俺に向かってある容器を投げた。その直後俺の体に異変が起こる。
俺の足が動かなくなったのだ。逃げようと思っても足が麻痺したように動かないで何もできない。俺がなんとかしようと思っていると、クロムは俺の装備その他諸々を奪って早々に立ち去っていった。なんで! そんな誰にも当たることの無い怒りや苦しみが俺の脳内に駆け巡った。
そしてゴブリンアースが俺の所へと来た時、俺はスキルを発生させる準備をした。もし死ぬとしても、何もせずには死ねない。これでも俺は、冒険者なのだ。ゴブリンアースが
棍棒を俺に向かって投げかけたとき俺はスキルを発生させる合言葉を発した。
「吸収!!」
その直後、俺の頭の中にとあるメッセージ音が届いた。
『スキル 吸収、成功。ゴブリンアースのスキル、棍棒術を得ました……』
『ゴブリンアースの経験度を吸収。棍棒術レベルアップ。」
それほどの情報が俺の頭の中に一瞬で流れ込んだ。此処が森じゃ無ければ倒れてたのだが、 俺はゴブリンアースへと向かう。
何故だが解らないが、今の俺ならこいつに勝てる。そう確信していた。そして俺は
ゴブリンアースに棍棒を振りかざす。
棍棒スキルレベル3技、
この技は棍棒にエネルギーをためて攻撃するスキルだ。俺はこの爆発棍棒を使ってゴブリンアースにとどめの一撃を与える。そして
ゴブリンアースを討伐する事に成功したのであった………
その後、俺は依頼主の部屋へと行ってすぐ様眠ってしまったのであった。………
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