第3話酸っぱいレモンに酸っぱい恋。

「琴美のやつ、一体何なだよ」


 朝の琴美の態度が少し気になりながら登校し、ずっとスッキリしない様子でいる。


「幸田! おはよ!」


 そう言って肩を叩いて来たのは、昨日告白された幼馴染の鶴味だった。

 昨日の告白のせいでまともに顔を見ることができない。


「お…おはよう」


「幸田どうしたの?」


「……!」


 少し頬赤らめている俺に顔を近づける鶴味。

 昨日のことなど忘れたかのように、いつもどうり鶴味は接してくる。


「いや……昨日のことがあったから、まともに顔が見れないんだよ」


「昨日のこと……!」


 本当に忘れていたのか一瞬で顔を真っ赤に染め、俺から少し距離をとる。


「そういえばそうだったね! ごめんごめん」


「別に謝らなくていいよ」


「そ、そう」


「……」


「……」


 少しぎこちない様子であまり会話が進んでいない。

 この何も喋っていない、なんとも言えない空気が、ものすごく苦痛に感じた。


「あ、あのさ」


「はひ!」 


 この空気が苦痛に感じた俺が鶴味に話しかけると、鶴味はものすごく驚いた。驚きのあまり変な叫び声が出るほどに。


「……今はまだ、付き合うことができない」


「……そうなんだ」


 俺の言葉に鶴味は少し肩を落とした。


「でも、別に……お前をふるってことじゃなくて、少し考えさせてほしいんだ」


「……うん。わかった。幸田がどうしたいか決まったらまた教えて」


「ああ」


「つるみーん!」


 明るい声で鶴味を呼ぶ声が聞こえ、


「じゃあね」とだけ言って途中で鶴味は仲のいい友達と合流し、俺達の登校中の会話は終わった。

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