第173話隣国

次の日早速王宮からの使者に料理を提供する胸をイーサン様が伝えた。


するとすぐに返答がきて、本人達に王宮にすぐに来て欲しいと連絡がくる。


「イーサン様!ミラ!一緒についてきてくれ!」


パッドさんはイーサン様の前で深々と頭を下げた…それはもう土下座しそうに…


「私はもちろん行きますが…ミラは必要ですか?」


「当たり前です!ミラの知恵がなきゃ困る!ミラだって自分の為なんだ失敗出来ないだろ?」


「そうだけど…パッドさんビオスさんと二人で行くのが心細いだけなんじゃない?」


私はジロっと怪しむように睨んだ。


「そ、そんなこと無いぞ!だが俺達は料理の事となると熱くなっちまう、止めてくれる人がいないとどうも不安で…」


「それもそうですね、二人にはミラがいるくらいがちょうどいいでしょう。ミラももう一度行ってるし問題ないかな?」


「うーん、そうですね!二人だけだと心配ですもんね!」


パッドさんは何か言い返したそうにするがぐうの音も出なかったようだ!


ミラージュは今日はお休みにしてパッドさんを拾いながら私達は王宮へと向かった。


もう既に話が通っているのか私達は難なく城門を通過して王宮へと入ると、この前と同じ部屋へと通された。


「イーサン様にミラさん、お久しぶりです」


部屋で待っていると、ロードさんが笑顔で顔を出した。


「ようミラ久しぶりだな!」


すると後ろからファイ王子も顔を出す。


「お二人共お久しぶりです。今日の話をしたきり来てませんでしたね」


「ちょっと忙しくてな…」


ファイさんが苦笑いすると私達の部屋に入ってドカッと疲れた様子で椅子に腰掛けた。


「え?まさかこの件でファイさん達が?」


私がイーサン様を見ると苦笑いをして頷いた。


「えーなんで黙ってたんですか!?」


「ごめんよ、王子達からミラには内緒にするように言われていてね」


「まぁそういうことなんで、ここには俺達と事情を知ってる奴しか来ないから気にせず思いっきりやってくれ」


ファイさんがグリグリと私の頭を撫でた!


くそ!黙ってたくせになんだ!


私は王子の手を払うとぐちゃぐちゃにされた頭を直した。


「思いっきりやって欲しいとは思っていましたがここにきて隣国の王から難題が来まして…」


ロードさんがすまなそうにパッドさん達を見ると、パッドさん達がゴクリと唾を飲み込んだ。


あの二人ここに来てから息してる?


なんかものすごく怖い顔をして固まっている。


「ねぇ二人共大丈夫?」


私が心配して二人の手をポンと叩くと…


「ぎゃあ!」


二人が叫び出した!


「お、お、驚かせるなよ!心臓が止まるかと思った!」


パッドさんとビオスさんが胸を押さえている。


「声かけただけじゃん!それより聞いてる?難題だって!」


「は、はい!どんなことでしょう?」


パッドさんが姿勢を正して聞いている。


「それが…隣国では宗教上の問題で獣の肉類は食べられないそうです…なので肉を使わない料理というのは可能でしょうか?」


「肉?まぁコロッケは芋だし大丈夫だな」


二人は頷き合うが


「でも油は?あれって豚の油でしょ?あと卵もダメなんじゃない?」


私がロードさんに確認するように顔を見ると、ロードさんがその通りだと困った様に頷いた。

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