第172話お願い
私とイーサン様はミラージュにつくと店内は明かりが消えて暗くなっていたが奥の厨房からは光が漏れていた。
私達は顔を見合わせてそこに向かうと
「やっぱり」
そこではパッドさんとビオスさんが無表情でただひたすらに料理をしていた。
「何をしているんですか!?」
イーサン様はその奇行に二人に慌てて声をかけた!
「え?あっ!イーサンさま…ミラも?」
パッドさんが驚いた顔でこちらを見つめた。
「いや、なんか作って無いと落ち着かなくて…」
ビオスさんが恥ずかしそうに頭をかいた。
「で、どうするんですか?」
私は早速二人に聞いてみると
「イーサン様から聞いたんだよな、王宮の食事会…」
「はい、何を悩んでいるのか分かりません」
私は二人にやれやれとため息をついた。
「悩むに決まってるだろ、あれはミラの料理だ!求められているのはミラなんだ」
「違います!私は調理法を教えただけ、私ならこんなに美味しくは作れません」
それは違うと首を振る。
「私が居なくてもお店は回るけどパッドさんとビオスさんがいなければミラージュはここまで大きくなれなかった。もっと自信を持ってください」
「そうだ、現に二人が考えた料理だってレシピに載っているだろ?」
「そうなの!?」
私は初めて聞いた内容に驚いた!
ならなおのこと二人の力が大きかったと言える。
「それに…私の為にもこの話受けて欲しいです!」
「ミラの為に?」
「はい!よく考えたらこれで国にも恩が売れるじゃないですか…」
私は不敵にやりと笑った。
「ミラ…お前、まさか」
ビオスさんがハッとした顔をすると…
「なので私に気を使うくらいなら私の為に頑張って下さい」
私は腰に手を当ててふんぞり返ってみせた!
「ふっ!本人がそういうならしょうがないな」
「そうだな、お姫様の為に頑張るか!どうせならあっと言わせるようなものを食わせてやる!」
パッドさんもビオスさんも腕をまくりやる気になってくれた。
「さすがミラだね」
イーサン様がコソッと呟いてこちらを見下ろしほっとした様に笑った。
「じゃあ王宮には了承と返事を返しておくよ」
イーサン様が二人の気が変わらないうちに声をかけた。
「はい!イーサンの旦那ご迷惑おかけしました!旦那の顔にも泥を塗らないように頑張ってきます」
二人が頷きあった。
「うん、私の事はいいから自分の為とミラの為に頑張りなさい」
「ありがとうございます」
二人は早速提供する料理は何にしようかと話し出した。
私とイーサン様は長くなりそうな二人をそっと残して屋敷へと戻ることにした。
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