第169話温かい食事

先ずは豚肉を用意して五ミリ程の厚さに切ると塩コショウをしっかりとする。


卵を用意してかき混ぜるとそこに粉チーズを入れて、さらに混ぜ合わせる。


フライパンを温めると油を引いて味付けしたお肉を卵の液に潜らせてフライパンで焼いた。


両面にしっかりと卵が纏い美味しそうな焦げ目がつく。


しっかりと焼ければポークピカタの出来上がり。


このまま食べても美味しいけど…今回は…


朝届いたばかりのパンをスライスして野菜を敷くと焼きたてのピカタを乗せて上からトマトソースをかける。


パンで蓋をして食べやすく半分に切ればポークピカタサンドの出来上がりだ。


こちらの料理が出来るとチラッとカナリアの方を見ると、向こうも調度出来上がったようで蜂蜜をかけていた。


「ミラ!まだか?もう匂いがたまらないんだが!」


ファイさんは肉の焼ける匂いに耐えきれずに声をかけてきた。


「王子!はしたないですよ…しかし…確かにいい匂いです…」


たしなめたロードさんの腹がぐーっとなった。


「なんだ、ロードだって腹減ってるんだろ?」


ロードさんが顔を赤くしている。


「はい、お待たせしました。ポークピカタサンドの出来上がりですよ!」


私は二人の前に出来たてのパンを置くと…


「いただきます!」


ファイさんがすぐに手を伸ばした。


「王子…」


ロードさんが呆れるが確かに出来たて熱々を食べた方が美味しい。


「ロードさんもどうぞ」


なのですぐにロードさんにも食べるようにと催促した。


「では…失礼して、いただきます」


ロードさんが熱々のパンにかぶりつくと…


「美味い!」


ファイさんが一口目を飲み込み終わり声をあげた。


「美味しい…です!これほどとは…王子が気に入って毎日通うのも頷けます」


「だろ!?もう一度食べたら病みつきだ…しかも毎回食べたことの無い料理が出てくるんだぞ」


「なんと…」


ロードさんが驚いて目を見開いた。


「そんなにもレシピがあるのですか?」


「あー…まぁ…」


私は歯切れ悪く頷く。


確かにまだまだ作ってない料理は沢山あるが…それは全部前の知識だからなぁ…それに知らない食材や調理器具もあるからそんなに作れるわけじゃないんだよね…


「いや…本当に凄いです」


ロードさんがしみじみとパンを見つめていると


「なんだ?食わないなら俺がもらおうか?」


食べないで見つめるロードさんにファイさんがパンを奪おうと手を伸ばすと…


「食べますよ!少し考え事をしてただけです!」


そう言って残りのパンを取られまいと急いで食べだした。


「ファイさん今日はデザートもあるからロードさんの分まで取らないでください」


苦笑して声をかけると


「なに!?デザート」


するとタイミングよくカナリアがフレンチトーストをファイさんの前に置いた。


「またパンか?」


同じような料理に少しテンションが落ちると


「まぁ文句は食べてからしてくださいね」


そう言うとファイさんは王子らしくナイフとフォークで上品に食べだした。


ポークピカタサンドを食べ終えたロードさんにも用意すると


「これはまた食べやすそうですね」


小さく切り口に運ぶと目を真ん丸にする。


そして無言でパクパクと食べる二人を満足そうに見つめた。

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