第168話普通
下準備を終えるとちょうど王子達が屋敷に着いたようだ、外が少し騒がしくなっている。
カナリアと共に迎えに伺うとファイさんとロードさんがちょうど屋敷に向かってきた。
「い、いらっしゃいませ…」
カナリアが緊張しながら頭を下げて出迎えると
「ファイさんいらっしゃいませ!ロードさん…は本当に来たんですね。それにその格好…」
ちゃんとファイさんと同じようなカジュアルな格好でロードさんがファイさんの後ろに続く。
「ええ、王子がこの様な装いなのに私だけいつも通りですと浮いてしまいますからね」
「別に来てくれなんて頼んでないぞ!」
ファイさんがジロっとロードさんを睨んだ。
「いえ!そんな訳には行きません!王子が普段どのような事をしているのか今日はじっくりと見させていただきますよ」
真面目そうなロードさんの言葉にファイさんは嫌そうに顔を歪ませた。
「まぁまぁロードさん、ここに来たらそういうのはなしですよ。料理を食べる時ぐらいゆっくりさせてあげて下さい」
「ミラ…いい事言うな!」
ファイさんが感動したように笑いかけてきた。
「ミ、ミラ様が…王子達を早く中に…誰かに見られでもしたら大変です」
カナリアがソワソワしながら話しかけてきた。
「そうだね、じゃあお二人共入ってください!今日はイーサン様もパッドさんもお店に行ってるから」
「そうなのか?まぁじゃあよろしく言っといてくれ」
ファイさんがイーサン様への言伝を頼んできた。
ファイさんはいつも通り厨房に着いてくると…
「お、王子?何処に行くつもりですか?」
ロードさんが厨房まできておかしいと思い声をかけてきた。
「何処って…ここで食うんだよ」
「ここで!?ここは厨房ですよ!きちんとダイニングで食べないのですか?」
「ファイさんも最初はそうしてたんだけどね…なんか一度作ってるところ見たいって言ってその場で食べてからここで食べるのがお決まりになっちゃったね」
「そうだったな、なんか広い部屋で一人待たされるのは好きじゃないんだ、それにここなら作りたてがすぐに食べられるからな!」
「し、しかし…」
「文句があるならロードはリビングで待ってりゃいいだろ」
王子は面倒くさそうにあしらうとさっさと厨房の椅子に腰掛けた。
「い、いえ!王子と同じように致します」
ロードさんはそういうと王子の隣に椅子を持ってきて座り出した。
そんな二人はほっといて私はカナリアと食事の準備をはじめる。
デザートは決まっている、そこはカナリアに任せて私はメインの準備だ。
カナリアは多めに作れば後で残りをあげると約束したら二つ返事で了承した。
フレンチトーストは簡単だし昨日一緒に作ったからカナリアでも大丈夫だろう。
カナリアが鼻歌まじりに卵を割るのを確認して自分の仕事に取りかかった。
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