第166話おかえり
「まずは卵をボールに割ってよく混ぜます!そこに砂糖とミルクを入れる!」
「量はどのくらいだ?」
「えー!適当でいいよ!ミルクはコップ一杯くらいで砂糖も甘くしたければ多めで…今日は控えめにしとこう」
もう夜だしね!
パッドさんは頷くと目分量でミルクと砂糖を入れる。
「よく混ぜたらそこにカチカチのパンを浸すよ」
「パンが崩れちまうぞ!」
「大丈夫大丈夫!液が浸みたらフライパンで焼くだけだよ!」
「わかった…」
パッドさんが言われた通りにパンを焼くと
「ん~甘いいい香りです!」
カナリアの目がパンに釘付けになる。
「おい、これはミラの分だぞ。カナリアは飯食ったんだろ?」
「そ、そうですけど~こんなの見たら…」
ぐうぅぅ~
私よりも大きなお腹の音が厨房に響いた…
「ああやっぱり…お腹が持たなかった…」
カナリアがお腹を押さえながらチラチラとパッドさんを見つめると…
「しょうがない…俺の分を半分やろう…」
「やった!…って言うか!パッドさんだって食べようとしてたんですか!?」
カナリアがずるいとパッドさんを睨むと
「馬鹿!俺はほら、味見だ!味見!料理人として食わないとしょうがないだろ!」
「そんな事言ってパッドさんだって食べたいだけですよね!?」
カナリアはジトーっとパッドさんを見つめると目をそらされていた。
「ほらほら!パッドさんよそ見してると焦げちゃうよ!」
私が慌てて声をかけるとパッドさんが急いでパンをひっくり返す!
すると美味しそうな焼き目が付いていた。
「美味しそう~」
やばいヨダレが…
私は慌てて口を拭く!
パッドさんが焼けたパンを皿に取ると次のパンを焼き出した!
「パッドさん!はちみつありますよね!」
「ん?ああ、その棚にあるぞ」
パッドさんが顎で指した棚に行くが…届かない…
するとカナリアが後ろから開けてくれた。
「これですか?」
はちみつの入った壺を取り出してくれる。
「それそれ!それがないとね!パンにかけてくれる?」
カナリアは頷くとはちみつをトロっとかけた。
はちみつがパンにかかって光っている…美味しそう~
そうしてる間にパッドさんが二枚目を焼き終えた。
そちらのパンにもはちみつをかけるとパッドさんがナイフで二つに切った。
自分の分を小さい皿に置いて大きな方をカナリアに渡していた。
あんな事を言いながらもパッドさんはカナリアには甘いのだ!
「では!いただきます!」
フォークを持ってはちみつのたっぷりとかかったフレンチトーストを一口に切ると口に運ぶ!
「むふぅ~」
幸せな味が口いっぱいに広がった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます