第165話おはよう?
私は気がつくと屋敷に戻っていた。
「はれ?」
半開きの目を一生懸命開いて周りを確認するともう見慣れた自分の部屋にいた。
いつ帰って来たんだ?
「ふふ…ミラ様お疲れ様でした」
起きた私に気がついてカナリアが笑いながらそっと近づいて声をかけてきた。
「あっカナリアおはよう~私、どうやって帰ってきたんだっけ…」
自分の経緯を聞くと
「旦那様が抱っこしながら帰ってきましたよ」
「えー!イーサン様に?」
「はい、嬉しそうでした」
え?私が?
「やはりミラ様と言えど王宮で事情聴取などお疲れになったのでしょう…ゆっくり休んで下さいね」
「ありがとう~でもたくさん寝たから大丈夫!それよりも…」
お腹を押さえるとぐぅーと答える変わりにお腹が鳴った。
「お腹空いちゃった」
思いの外大きな音に恥ずかしくなって顔を赤らめると
「では厨房に行ってみましょうか?もうこの時間ならパッドさんも戻っていると思いますよ」
「うん!」
カナリアに連れられて厨房に行くと…
「おお!ミラ大丈夫だったか?」
パッドさんがちょうど明日の仕込みの準備をしていた。
「大丈夫だよーなんでみんなそんなに心配するかな!?」
私が笑うと
「そりゃするさ、ミラは今やこの屋敷にもあの店にも欠かせない存在だからな」
「ふーん…そっか、ありがとう…」
そんなストレートにお世辞を言われると少し照れる…私は素っ気なく返事を返した。
「それよりもどうした?こんな時間に」
「ミラ様はさっきまでお休みになってて、パッドさん何かミラ様に美味しいもの作ってくれません?」
「何!?ミラが飯食ってないのか?」
「〝が〟って何よ~!寝ちゃってたんだもん、もうお腹ペコペコ…」
ぐうー!
また同意するようにお腹が鳴った。
「ははは!腹が早くしろと催促してるみたいだな!よし…じゃあ何にするか…もう仕込みをしたからあんまり食材が残ってないんだよな…」
パッドさんが材料を確認している。
「何があります?」
「そうだな…パンと…卵と少し野菜があるくらいだな。明日の朝にはまた食材が来るが…」
パッドさんがそれしか無いことに済まなそうに眉を下げた。
「サンドイッチでも作ってやりたいが、このパンは硬すぎるな…」
私はその言葉にニヤッと笑うと
「パンと卵があるなら…あとは砂糖とミルクはある?」
「ああ!」
パッドさんが笑顔で砂糖とミルクを取り出すと
「また何か思いついたのか?」
「いやぁ~なんか無性に甘いもの食べたくて…あっ!ついでに明日の王子のご飯もそれでいいかも!」
私はいい考えに手をポンッと叩いた!
「王子?あの人まだここに入り浸ってるのか?」
「そうなんだよーそれに明日は側近の人もくるんだって~なんか王子が何を食べてるのか見に来ますって!」
「おいおい…大丈夫なのか?」
「うーん…一応イーサン様が了承したんじゃないかな?あれ?どうだろ?」
私は話がどう落ち着いたのか覚えてなかった…
「まぁいっか。来たらきたでそれ作ろー」
「王子相手でも変わらんな…」
パッドさんが笑うと
「で?どう作るんだ!?」
そんな事より料理の事に夢中なようだ!
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