第128話遭遇
「あ、あれは…」
ブレンダンはサッと建物の陰に身を隠した。
「おお!ミラちゃん珍しいなこんなところまで来てるの」
屋台の男が親しげに少女に話しかける。
見たところメイドも連れているし身なりもいい…貴族の娘のように見える。
それにあの屋台…今話題になっているコロッケの屋台だ…あれも忌々しいイーサンの登録したものだと報告を受けていた。
「イーサンの出した屋台に買いに来る…メアリーに似た娘…まさか…」
ブレンダンは店での事など忘れてその子供の後をこっそりとつけた。
◆
ミラはロジーさんの屋台でカナリアと自分の二人分のコロッケを頼むとそれを食べなが街の散策を続ける。
「イーサン様は何が好きかなぁ~」
「ミラ様がお渡しになるならなんでも泣いて喜びそうですね」
「そんなわけないよー、この野菜あげても喜ぶ?」
ミラはちょうど通りかかったお店にあるじゃがいもを指さした。
「絶対に喜びますね、腐られないようにどうにかして保存させると思います」
「まさかー」
ミラが笑うがカナリアは至極真面目な顔でいる…いや!じゃがいもだよ?
釈然としないながらもイーサン様の事を考えてやはり喜んで貰えそうな物を探しに行った!
時計…はさすがに高すぎるか、このスカーフゾーイおばあちゃんにいいかも!
あっ!ロジーさんにこのタオル頭に巻いてもらおう!
クロード様にはメガネかけて欲しいんだよなぁ~メガネはないかなぁ~
ミラはお店の商品に夢中になりながらちょこちょこと移動する。
「ミラ様!お待ちください!まだお会計が終わってない~!」
カナリアがお店でお金を払ったいる間にミラは次の店へと移動した。
「ここはスパイスのお店かな?匂いが凄い!」
これならビオスさんとパッドさんが喜びそう!
私は少し薄暗い店内に入っていった…
「ミラ様~!」
カナリアは最後にミラが入ったお店の入口でミラを呼んだ。
なんだか凄い匂いのする店だ…
ミラ様を呼ぶが返事がない…また商品に夢中になっているんだろう…ミラ様は変な物に目を輝かせたり、当たり前に使うものの使い方がわからない事があるのにみんなが知らないような知識を知っていたりとよく分からないお子様だ。
でも優しく、誰にでも平等に接してくれる姿は使用人をはじめ街の人達からも好かれている。
本人にその自覚は無さそうだがみんなから守られ愛されている。
私もミラ様のお世話係に就かせてもらい感謝しかない。
私はどうもズボラで主人に失礼な態度を取ってしまうらしくちゃんとした仕事など貰った事がなかった…
そんな時ミラ様のお世話を一日まかされたらミラ様に大変気に入って貰えたらしくそのままお世話係になれたのだ。
ミラ様曰く特別かしこまらない感じが良かったらしい。
お世話をする時もお友達みたいに接してと言われていた。
私をはじめミラ様がこの屋敷に来てくれなかったら今の生活を送れていない者は沢山いる。皆、口にはしないが感謝しきれないでいた。
そんな大切なミラ様を私は見失ってしまった…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます