第110話パッド
「お店の内装とってもいい感じでした!クロードさんありがとうございます」
ミラはお店の中を隅々まで案内してもらっい大満足の仕上がりだった。
「じゃあ次はこの店の心臓部の厨房だな、こっちだ」
クロードさんはそういうと部屋を出て通路に戻ると
「この通路を挟んで店内の反対側の部屋が厨房になってるんだ」
「へー」
ミラとパッドがワクワクしながらついて行くとそこは縦長に広い厨房があった。
「凄い!広い!綺麗!」
ミラはピカピカの厨房の台を触ると頬ずりする。
「お前…いいなぁ」
パッドさんが羨ましそうに厨房を撫でるミラを見つめると
「しかし広いな…端が…結構歩くぞ」
「まぁ大きく三つに分けて使う、ここはゴールドクラスの料理、隣はシルバークラス、一番向こうはブロンズクラスだ。でも繋がってればパッドくんも指示を出しやすいだろ」
「指示だって!かっこいいね」
ミラはパッドを見ると
「いや、もうみんな料理人達は自分の仕事をわかってるからな。俺がなんか言うことはねぇよ。どっちかと言うとミラが指示だろ」
「まぁそうなりますかね…」
イーサンが仕方なさそうにしていると
「えー言わないよそんな事…多分」
「いや!お前は絶対に言うね」
パッドさんが自信満々に頷いた。
「じゃあパッドくんはここで食材の確認と調理器具やら使いやすい用に変えてくれ、もう少しすれば他の料理人達も来るだろ」
「わかった」
「ミラは当日…イーサン様の娘って事でシルバークラスの所でイーサン様と食事をして貰う、何か気になる事があれば俺かイーサンに伝えるんだぞ!間違っても他の従業員に何か言うな」
「はーい」
ミラは頷くと
「イーサン様料理楽しみだね!」
「そうだね、僕らはパッドの料理を楽しもうか」
笑っている二人にパッドはなんだがいやに緊張した。
その後は細かい打ち合わせを話す為クロードとイーサンは別室へと向かった。
ミラはパッドと共に厨房で一緒に食材の確認を行う。
「おお!さすが高級店!食材も新鮮で豪華だね!」
「うー…いよいよか…受け入れられなかったらどうしよう」
パッドさんがいよいよ迫ってきた本番に緊張しだした。
「失敗したらまた違うの考えるからいいよ」
ミラがあっさりと答えると
「えっ?次…」
「うん、違うメニューにしてもいいし他の商売もいくつか考えてるから」
「お、お前…」
パッドさんは目の前の小さな女の子を見つめると
「ん?」
なぁにとミラが振り返って首を傾げる。
その姿は普通の女の子だ…だがその思考に驚きパッドはゴクッと唾を飲んだ。
「だから気にせずにパッドさんの好きなように作っていいんだよ」
「お前…そこまで考えているのか…そこまでして何がしたいんだ?」
「うーん…それは内緒!でも必ず叶える…それにみんなを巻き込んでいるのは申し訳ないけど…」
ミラの顔が一瞬陰るとパッドさんはポンと頭を撫でた。
「誰もいやいや巻き込まれてるなんて思ってねぇぞ。むしろ感謝してる奴らの方が多いだろ」
「それならいいんだけど…」
ミラは眉を下げて微笑んだ。
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