第104話行列

「あっ!人が来たよ!」


ミラは屋敷の前に出来た列を眺める。


カナリア達がチラシを貼ってくれた日から数人屋敷を伺うように人が来るがみんな直前で引き返していた。


「あの人達も帰っちゃいますかね…」


ミラとカナリアは部屋の窓からそっと外の様子を伺っていた。


「ここまで入る決心がつかないのかな…」


ミラはさっきから行ったり来たりしている男達を見てムズムズしてきた。


「もう!じれったい!」


そういうとミラは部屋を飛び出していった!


「ミラ様!?」


カナリアがあとを追うがミラの姿はどこにもない…


「あれ?何処に?」


キョロキョロと廊下を探していると…他のメイドとすれ違う。


「ミラ様見ませんでしたか?」


「ミラ様なら向こうに走っていったわよ」


カナリアは慌てて言われた方向に走り出した。


ミラは屋敷の玄関に来ると扉を開けて外に出た、そして男達がウロウロとする柵の前に行くと…


「何してるんですか?」


何も知らない子供のように声をかけた。


「えっ!あっ!な、なんでもありません!」


男達は慌てて逃げようとすると


「待って!おじさん達仕事見つけに来たんじゃないんですか?」


ミラが聞くと


「な、なんでそれを…」


「パパが仕事してくれる人探してるって言ってました…おじさん達がしてくれるの?」


ミラが聞くと


「お、俺たちみたいな奴らで大丈夫なのかな?」


「大丈夫です!パパすごく優しいからきっと喜びます!来て!私が案内してあげる!」


ミラはこっちだと男達に手招きして屋敷の門の方へと案内する。


「門番さん!お客様です。開けてあげて下さい」


門に立つ門番に声をかけた。


「ミラ様、こんな所にきて大丈夫ですか?」


「イーサン様が心配しますよ」


門番達は苦笑しながらも門を開けると…


「お前達面接に来たのか?」


男達に声をかけた。


「ひっ…す、すみません…」


男達は本番にビビって後ずさる。


「そんなにビビらなくても大丈夫だ、面接は向こうの小屋でするから行ってくれ」


そういうと屋敷の敷地に立つ小屋を指さした。


「は、はい!」


男達はほっとして小屋に向かおうとすると…


「お嬢ちゃん…声掛けてくれてありがとうな!」


そっとミラに声をかけた。


「いえ…面接頑張って下さいね!」


ミラは二人に手を振ると玄関から聞こえるカナリアの心配する声に気がついて慌てて戻って行った。


一組目の面接が終わり男達は街に戻ると今日の出来事を仲間達に話した…


それを聞いた街の人達は慌てて屋敷へと走り出した!


その日のうちにたくさんの応募者が集まりイーサンと執事のオールドは慌ただしく面接を終えた…


今日の分を終えて屋敷に戻るとイーサンはドサッとソファに座り込む…


「オールドも座ってくれ…」


「ご主人様と座るなど…許されませんが…今日だけは座らせて下さい」


部屋の端に椅子を用意して座り込む。


「大丈夫だ、助かった…オールドがいなければ半分もこなせなかっただろう」


二人ではぁ…とため息をついていると


「お疲れ様ー」


ミラがカナリアと部屋を訪れた。

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