第105話育成
「ミラ!」
「ミラ様」
ミラに顔を見て疲れていた心が一気に癒される。
オールドもいつの間にか立ち上がりミラを出迎えていた。
「イーサン様もオールドさんもお疲れ様でした。疲れてると思ったからお茶を入れてきました!ほらオールドさんも座って、二人の為に入れたんだから」
「し、しかし…」
オールドさんが困った顔をすると
「ほらオールド、ミラもこう言ってるから今日はゆっくりしなさい」
イーサンがソファの隣を空けるとオールドは苦笑する。
「では、失礼して…」
オールドさんが座ってくれるとミラはテーブルでお茶を入れる。
「街に行ったらたくさん食材が売っていたのでしょうがとはちみつを買って来ました」
ミラはしょうがを絞ってしょうが汁を作るとお湯で割ってはちみつを入れる。
「はい、どうぞ温まりますよ」
イーサンとオールドの前に置くと横にクッキーを添える。
「甘い物を食べて疲れを取って下さいね」
「これもミラが作ってくれたのか?」
「うん、これはパッドさんに教わって作ったの…どうかな、上手く焼けてる?食べてみてくれますか?」
ミラが二人に表情を伺うと
「ではいただきます」
オールドさんがクッキーに手を伸ばした、イーサンも同じようにクッキーを食べると
「うん、美味しい!ミラが作ったと思うと余計に美味しいね」
「はい、大変いいお味です。いっぺんに食べてしまうのがもったいないですね」
オールドさんが微笑むと
「えへへ…よかった。じゃあゆっくり休んで下さい…無理させて本当にごめんなさい…」
ミラは謝るとカナリアと共に部屋を出ていった。
「ミラは私達が疲れていることに罪悪感があるのかな…」
イーサンはしょうが汁をぐっと飲み干した。
「何かミラ様は急いでいるように感じますね…この店が上手くいったとして…何を望んでいるのでしょう」
オールドも同じようにしょうが汁を飲んだ。
イーサンとオールドの頑張りで早々に人の確保も終えた。
人材育成にひと月かけて屋台での販売のノウハウを教えた。その間屋敷の敷地の一角に住まわせていた。
「皆さんおつかれ様で~す。どうですか?コロッケ作れるようになりましたか?」
ミラはちょこちょことそこに様子を見に行っていた…
「おっ!ミラちゃん!俺の作ったのを食べて見てくれよ!今日はよくできたと思うんだ」
あの時この屋敷に入るのを渋っていた時のおじさんが声をかけてきた。
「ロジーさんのコロッケかぁ…ロジーさんのは油っこいからなぁ~」
ミラがうーんと顔を曇らせた。
「そ、そんなぁ~ミラちゃん酷いなぁ…」
ロジーさんがしょんぼりとすると
「あはは嘘ですよ。ロジーさんのコロッケも毎日美味しくなってるよ」
ミラはロジーさんが練習で作ったコロッケを小さく切って味見する。
「ん!美味しい!ちゃんと油をきったんですね」
「ああ!言われた通りにしっかりと油を落としたぞ」
「うん!しつこかった感じが良くなったよ。あとはしっかりと衣を作ってね。もう何回か作れば合格貰えるんじゃないかな?」
ミラが頷くと
「やった!そしたら正式に売りに出ていいんだよな!」
「うん!頑張ってね!」
「ああ!売り上げも半分は貰っていいって言うし…頑張って売るぞ!」
「こんな美味いもんなら絶対にみんな買いに来るよな!」
「ああ!俺だって金があるなら買いに行くね!それだけこのコロッケは美味い!これを考えたパッドの旦那はすげぇな!」
ロジー達が楽しそうに話しているのをミラは笑顔で聞いていた。
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