第102話作成
ミラが広げた書面を二人は覗き込む…パッドも気になり後ろから眺めていると
「これは…コロッケのレシピ?」
イーサンが紙を手に取ると…
「こちらは…違う物が書いてあるぞ?」
クロードが持っている紙にはから揚げのレシピが書いてあった。
「これをどうするつもりだ?」
「レシピとして売り出すのか?」
二人がミラを見ると
「それだとすぐに広まっちゃうでしょ?まぁ他で似た物が出来たら売り出してもいいですけど…でもそれまでは屋台でこれらを売るの」
「屋台…」
「ここに書いてあるのはどれもそんなに難しく無い物なの、作るのに場所もそんなに取らないしね。それに片手で食べられるから食べ歩きには持ってこい。屋台なら好きな場所でお店を開けるし土地も必要ない…たくさん作って色んな場所に売りに行く」
「あ、ああ…でもそれなりに人が必要だぞ」
「仕事探してる人なんていっぱいいるでしょ?調べたら貧困層もあるみたいだし」
「こ、乞食を使うのか?」
「駄目だ。ミラに何かあったら…」
「私だって元は乞食だよ。みんなそうなりたくてなってるわけじゃないと思う。この仕事でみんなの助けになれれば一石二鳥じゃない?」
「盗まれでもしたらどうするんだい」
「それでも構わない…別にそこまでのレシピじゃないしいくらでも他の料理があるから」
「「「えっ…」」」
さすがのパッドも驚くと
「言ってないだけでまだまだたくさん料理は知ってるよ」
ミラはニコッと笑う。
「でもそれは一般向けね!もう一つはグッと高級志向にする。一見さんお断りの会員制のレストラン。貴族の人ってそういうの好きだよね」
ミラがクロードを見ると
「確かに…そこに入るだけでステータスが上がるようなところはプライドの高い貴族ならこぞって入りたがると思う…」
クロードは最初は子供の妄想と話半分に聞いていたがミラの話を聞きながら店を想像してみる。
「うん…いけそうだな」
「でしょ。年会費を取ってしかも一日数組限定…でも料理は手は抜かない。会員にもクラスを付ける。ゴールド会員シルバー会員ブロンズ会員って…そうして何度も来てくれた人にはクラスを上げる、サービスもつける!」
「いいぞ!みんな上に行きたくて何度も足を運びそうだ!」
クロードが立ち上がると
「店は任せろ!俺が素晴らしい物を作ってみせる」
「お願いします」
ミラが笑うと
「おい!イーサン!忙しくなるぞ!こいつは面白い事になりそうだ!」
クロードはやる気満々に立ち上がる。
「待て!ミラ…本当にやるつもりかい?」
しかしイーサンは不安そうにしていた。
「うん…私どうしてもお金と地位が欲しい…じゃないと手に入らないものがあるから」
「それは…私では与えてあげられないものなんだね」
「ごめんなさい…自分で掴み取りたいの」
ミラはイーサンを見つめた。
「わかった…私も協力しよう…だが条件がある!」
「は、はい…」
「ミラの正体は極力バレないようにする事!やはりこれだけの事をすれば目に付けられる。私はそれが一番怖いんだ」
イーサンが心配そうにミラの小さな手を取ると
「わかりました…」
ミラがこくっと頷くと
「時期が来たら全てミラだったと発表すればいい、書類の名前は全てお前にしておくから」
「じゃあ俺とイーサンの名前を仮で使おう、話がある時はここの屋敷に集まる。そうすればミラも参加できるからな」
「うん!」
「ミラは他の人の前では年相応の振る舞いをしろよ、君ならそれぐらいできるだろ?」
「わかりました」
ミラは頷くと
「よし!建物と屋台の手配は任せておけ。イーサンは人材の方を頼む」
「はい」
イーサンは頷くと
「楽しくなりそうだ」
クロードはミラを見つめてニヤッと笑った。
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