第62話失態

ローガンはジョンの元に訪れると


「あ!ローガンさん!」


起きていたミラが笑顔で駆け寄ってきた。


可愛いミラにローガンは憂いていた気持ちが和らぐ、笑顔でミラを抱きとめると軽々と抱き上げた。


「先程はよく寝ていましたね、もう大丈夫ですか?」


「はい!元気もりもりです!それよりローガンさん…料理はどうでした?ハーパー…帰ってくる?」


ミラが眉を下げながらローガンを見つめる。


「ええ、ミラの料理が素晴らしかったのでハーパーはすぐに釈放されるようです」


「本当!」


ミラに顔が輝いた!


「そりゃ本当か?」


話を聞いていたジョンが口を挟むと


「ええ…」


ローガンの顔が曇った。


「なんだ?なんかあんまり嬉しそうじゃねぇな」


ジョンが眉をひそめると…


「おい!ハーパーが戻ってきたってよ!」


囚人が知らせにきた。


「ハーパー!」


ミラはローガンの手から降りると牢屋を出ようと走り出す!


「あっ!ミラ駄目だ!」


ジョンとローガンが止める間もなくミラは牢屋を飛び出してしまった。


囚人達の足の間を抜けてハーパーの牢屋を目指して走り出した。


「馬鹿!ミラ止まれ!この時間はまだ看守が巡回してる!」


「ミラ!」


ジョンとローガンの心配する声は興奮するミラには聞こえなかった。


はぁはぁ!と短い足を懸命に動かしてハーパーのいる棟に行こうとすると…


「止まれ!なんだこのガキ?なんでもガキがこんな所に?」


ミラの目の前に巡回中の看守達が現れた…


「あっ…」


ミラは血の気が引く…


今までずっと注意していたのに…ハーパーの事を思うと体が動いてしまっていた…


「お前、何処から入ったんだ?」


看守達は目の前に現れた子供を掴もうとすると


バッ!と子供は身を翻して反対方向に逃げ出した!


「はっ?逃げた…」


一瞬唖然とするが…


「捕まえろ!」


看守達の足とミラに足では比較にならずあっさりと捕まってしまった。


「何処から入ったんだ…全く…」


看守は暴れるミラをガッチリと脇に抱えると看守室へと向かう。


巡回の途中で戻ってきた仲間に休んでいた看守達が顔を向けると


「おい、まだ早いだろ?なんで戻ってきたんだ…」


声を出しながら顔を向けるとその脇に抱えた子供が目に入った。


「お前…いつ子供産んだんだ?」


「産むかよ!まだ結婚もしてねぇよ!なんか知らんがこのガキここに迷い込んだみたいだな…」


「迷い込む?この収容所にか?周りは町はおろか村だってねぇぞ。どうやって迷い込むんだよ」


「じゃあなんでこんなガキがここにいるんだ?」


看守達の注目を集めてミラは気まずそうにへらっと笑ってみた…

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