第59話ローガン

ローガンは仕事を終えてミラを迎えに行くと…


「よう、ローガン。お姫様はお疲れでそこで寝てるぜ」


ビオスが皿を洗いながら顎で指し示す方を見るとミラが小さなタオルをかけられて気持ちよさそうに寝ていた。


「小さいのにいっぱい手伝ってくれたからな、疲れたんだろ」


ビオスが優しそうに笑ってミラを見つめる。


「そうですか…」


ローガンはサラッとミラの髪を撫でると


「それでこれがミラと作った飯だが…とりあえず一組作っといたがどうするんだ?」


ビオスはミラと用意した料理をローガンに見せると、ローガンはそれを受け取った。


「これは私が持っていきます…ミラはジョンに迎えに来るように言っておいてください」


「あ、ああわかった」


ビオスが頷くのを確認してローガンは料理を持って何処かに行ってしまった…


「どこに持ってく気だ?」


ビオスは首を傾げローガンを見送った。


ローガンは料理を受け取ると看守達の部屋へと向かう。


「すみません、看守長に用があります」


ローガンが声をかけると


「はぁ?」


誰だと休憩中の看守達がローガンを睨みつけた。


「なんだお前…囚人が看守長になんの用だ」


睨みつけると持っていた料理に気がついた。


「なんだそれ…」


いい香りに思わず目がいく…


看守達が集まって覗き込むと見たことない料理が並んでいた。


「どうしたんだこれ…」


「囚人達が作った料理ですよ、看守長に頼まれていて、運んで来ましたので通していただけると助かるのでますが」


ローガンが笑うと


「それは俺が預かって渡しておこう…そこに置いとけ後で持ってくから」


ローガンに料理を置いていけと命令すると


「すみません、それは出来かねます」


ローガンが断った。


「はっ?お前今なんて言った?」


看守が睨みつけると


「今置いていけば食べられますよね?それでそんなものは来てないと報告するのでしょ?これは…まぁ頑張って作ったのでどうしても看守長に食べて頂かないといけないのですよ」


置く気は無いとローガンは看守に笑いかけた…


「こいつ…」


看守達がガタガタと椅子を鳴らして看守棒を握り立ち上がると…


「騒がしいね、なんの音だい?」


奥の部屋から看守長が出てきた。


「チッ…」


看守達は持っていた棒をそっと仕舞うと…


「ああ、よかった!看守長頼まれていた料理をお持ちしました。彼らが看守長を呼んでくれないので困っていたところです」


ローガンがわざとらしく大袈裟に言うと


「い、いや…今呼びに行こうかと…」


「へぇ?棒を使って呼ぶのですか?皆さん棒を持って立ち上がりましたけど?」


ローガンが不思議そうに言うと


「そうなのかい?それは気になるね…後で詳しく聞かせてもらおうか?」


看守長は一際目つきの悪い看守に声をかけた。

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