第52話ひょっこり
ミラは看守達が来たのでビオスさんの足元の箱に隠れていた…
「ビオスさーん…看守いる?」
ミラがこっそり声をかけると
「こらっ…大人しくしてるんだ」
ひょっこりと顔を出すミラの頭を押し込める。
「近づいては来てないが様子を伺ってるな…みんな我慢して食べてるぞ…」
クックッとビオスさんが笑うと
「我慢?うそ…やっぱり味が変だった?結構上手く出来たと思ったのに…」
ミラがしょぼんとしながら箱の中に帰っていった…
「ち、違うぞ!美味いのを我慢してるんだ!?あれ?なんか言い方が変だな…」
ビオスさんが頭を抱えると…
「つまりな、美味しいんだが美味い顔をしてしまうと看守達にまた取られちまうだろ?しかも今はハーパーを捕らえてるからなまた騒ぎでもおこしたら大変だろ?だからみんな美味しい顔を我慢して食べてるんだよ」
「ふーん…つまりは美味しいって事?」
「そうだ」
ビオスさんがしっかりと頷く。
「ならよかった…」
ミラはほっとして看守が居なくなるのを待った。
看守達はしばらく様子を伺っていたが囚人達の様子からそんな美味いもんでもないだろうと諦めてやっと持ち場に戻って行った。
看守達が居なくなると…食堂は一瞬シーンとなる…
皆手が止まり入り口の様子を伺っていると…
「あー腹減った…」
仕事を終えた次の囚人達が入ってきた。
「なんだよ!お前らかよ!」
「びっくりさせやがって!」
「な、なんだよ…なんでそんな文句を言われなきゃならねぇんだ」
戸惑う囚人達に理由を説明すると…
「あーそれでさっき看守達とすれ違った時に機嫌悪かったのか」
妙に納得する。
「あーよかった!じゃあ俺たちはミラちゃんの料理を堪能しよう!」
囚人達は意気揚々と料理を取りに行った!
ミラの料理を食べた囚人達は大満足で仕事に戻って行った。
「みんな喜んでくれてよかった~」
みんなの様子にほっとすると
「それに、誰も連れていかれなくて…」
そっちの方が心配だったので安堵していると、
「でもなんで看守達は食堂に入ってこなかったんだろうな…いつもなら我が物顔で来るのに…」
看守の態度にビオスは首を捻った。
「それよりビオスさん!料理を仕上げちゃおう!パンはこれで完成でしょ…後はスープだよね」
「ああ、何かいい案があるのか?」
「うん!私スープの中でこれが一番好きなんだ!」
ミラはニコッと笑った。
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